【けいれんとは】
けいれんとは脳の異常な興奮によって、全身または身体の一部の筋肉が発作性にかつ不随意的(自分の意志とは関係なく)に起こる「持続性あるいは断続性の筋肉の収縮をさします。
小児の約10%にけいれんを経験すると言われています。
小児のけいれん発作のほとんどは熱、感染、外傷などの脳以外で生じることにより誘発されることが多いです。
一番多いのが熱性けいれんで小児の約15〜20人に1人が経験します。
熱性けいれんに関しては
熱性痙攣
を参考にして下さい。
てんかんは約100人に1人の割合で罹患すると言われています。
以下のいずれかの状態をてんかんと定義します。
- 24時間以上の間隔で2回以上の非誘発性(または反射性)発作が生じる
- 1回の非誘発性(または反射性)発作が生じ、その後10年間にわたる発作再発率が2回誘発性発作後の一般的な再発リスク(60%以上)と同程度である。
- てんかん症候群と診断されている。
これは新しい定義ですが、とてもわかりづらいので「大脳が過剰に活動していろいろな発作(てんかん発作)が繰り返し起きていていろいろ起こる慢性の脳の疾患」という理解でいいと思います。
【けいれんを起こす原因】
発熱を伴うかどうかと年齢が重要です。
- 発熱を伴うもの
a.てんかん
乳幼児重症ミオクローヌスてんかん(severe myoclonic epilepsy in infancy; SME),入浴てんかんb.非てんかん
熱性けいれん、中枢神経感染症(脳炎、脳症、髄膜炎など)、急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis; ADEM)、熱中症、熱射病、膠原病(中枢性全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus; SLE)など)、甲状腺中毒症 - 発熱を伴わないもの
a.新生児期
てんかん、低酸素性虚血性脳症、頭蓋内占拠性病変(頭蓋内出血、脳梗塞など)、低血糖、電解質異常、ビタミンB6欠乏症、脳奇形症候群、染色体異常、母胎に投与された薬物(麻薬、向精神薬など)胎内感染症(toxoplasma, others, rubella, cytomegalovirus, herpes simplex; TORCH)、先天性代謝異常症、先天性心疾患、早期乳児てんかん性脳症(大田原症候群)、良性新生児けいれん などb.乳幼児期
てんかん、脳症、憤怒けいれん、身震い発作、過剰驚愕発作、脳奇形症候群、染色体異常、副甲状腺機能低下症、低血糖、先天性代謝異常症、溶血性尿毒症性症候群、頭蓋内占拠性病変、低血糖、急性小児片麻痺、多発性硬化症、脳血管障害(もやもや病、脳動脈奇形)などc.学童期・思春期
てんかん、脳症、溶血性尿毒症性症候群、薬物中毒、頭蓋内占拠性病変、副甲状腺機能低下症、起立性調節障害、不整脈、心因発作(ヒステリー)、原発性肺高血圧症、低酸素脳症(溺水)など
【てんかんと似たような状態】
代表的なものに身震い発作、悪寒、憤怒痙攣(泣き入りひきつけ)、head nodding、不随意運動(ミオクロニー発作、アテトーゼ、ジストニアなど),チック、胃・食道逆流現象(Sandifer症候群)などがあります。
- 憤怒痙攣(泣き入りひきつけ)
激しく泣いたあとに息を吐いた状態で息を止め、顔面蒼白、口唇は青くなり、時には意識がなくなり身体を反らせたりします。新生児から3歳まで、多くは生後6ヶ月〜1歳6か月におこります。
自然に治癒するので通常治療は不要となっています。
ときに「泣かさないように」と書かれている本もありますが、無理ですよね。 - 身震い発作
乳児期後半から1歳代に多く、食事中が多いです。目を見開いて口をイーッとして、頸や腕をブルブルと数秒間震わせる物です。
意識が保たれているのも特徴です。持続が数秒程度でもしばしば連発するのも特徴です。 - 悪寒
体温に急激な上昇の際、皮膚毛細血管の収縮により熱放散が妨げられることによって起こります。
ゾクゾクする寒気のことです。 - Head nodding
乳児期後半の多く、点頭てんかんが疑われて受診することがあります。
頷くような素早い動作で、喜んで興奮したときなどに多く、手足の動きは伴いません。 - 不随運動
発作性、突発性という天では同じですが通常意識が減損することはありません。
代表的な病気として、発作性運動誘発舞踏アテトーシス(paroxysmal kinesigenic choreoathetosis; PKC)、発作性ジストニア性舞踏病(paroxysmal dystonic chreoathetosis; PDC)、夜間発作性ジストニア(paroxysmal nocturnal dystonia)、ミオクローヌスなどがあります。 - チック
チック症・トゥレット症候群を参考にして下さい。 - 夜驚症(睡眠時驚愕症)
小児期広範から若年期に生じ、睡眠開始から夜間睡眠時間帯の1/3くらいまでに生じることが多いです。持続時間はほとんどは数分で興奮していることが多く、起きたときには覚えていません。ご家族に同じような既往をお持ちの方がいるかもしれません。周囲に危ない物がないようにして経過を見ておいれば通常はやがてなくなっていきます。あまりにも多い場合には睡眠薬を使用したりすることもあります。