非貯留性便失禁
【非貯留性便失禁とは】
非貯留性便失禁とは、便秘や便貯留(直腸内への便塊の蓄積)を伴わずに、不適切な場所へ便が排泄される機能性便失禁の一亜型です。貯留性便失禁(便秘による溢流性便失禁)とは病態が異なり、直腸に便塊がなく、排便回数や結腸・肛門直腸の運動機能も正常であることが鑑別点となります。
【診断基準】
発達年齢が4歳以上の児が対象となります。
少なくとも1ヶ月以上の期間、下記の3項目をすべてみたすもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1. 社会文化的に不適切な場所での排泄行為 | 便意を感じながらも、トイレ以外の場所で排便してしまう 年齢相応の文化・社会的ルールを守れない排泄行動 |
| 2. 便保持のエビデンスがない | 便意を我慢する姿勢が見られず、直腸内便塊など「便の滞留を示す所見」が確認されない |
| 3. 他の疾患では説明できない | 検査や評価を行っても、神経疾患や消化器形態異常など、他の医学的原因が否定される |
【病態生理】
結腸通過時間は正常であり、便秘児に見られるような遅延はありません。また、直腸での感覚閾値も比較的保たれているとされています。脳腸相関の異常が関与している可能性が指摘されています。尿失禁の合併も20~50%と高頻度にあり、社会心理的要因の関与が重要視されています。
【治療】
心理的な障害や学習障害、行動上の問題はないかを確認し、行動療法が良いとされています。毎日、食後の余裕のある時間にトイレトレーニングを行い、トイレへの恐怖感を取り除くことが、通常の排便習慣を回復し、自尊心を再確立するうえで重要です。しかし、行動療法を行っても改善する確率は低いので、根気強く継続することが大切です。










