他に分類されない機能性腹痛(Functional Abdominal Pain Disorders-Not otherwise Specified:FAPD-NOS)
【疾患概念】
小児・思春期の機能性消化管障害の一つで、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、腹部片頭痛のいずれの診断基準も満たさない腹痛をFAPD-NOSと呼びます。
【頻度】
小児の腹痛の中でかなりを占め、機能性腹痛障害の60%をしめるとも言われています。機能性腹痛障害全体は世界的には約13.5%の有病率と言われています。
我が国での有病率の報告はありません。
【症状】
日常生活を妨げるような腹痛を呈します。
【診断基準】
ここではRome IVの診断基準を示します。
Rome IVの診断基準
少なくとも月に4回発症し、次のすべての項目を満たす必要がある。
- 生理的現象(例:食事、月経)中だけ発症するわけではない。偶発的または持続的な腹痛
- 過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、腹部片頭痛の診断基準を満たさない
- 適切な医学的評価を行い、症状が他の疾患では説明できない
*診断前に少なくとも2ヶ月間で上記症状を満たす
【検査】
問診で警告症状がないかを確かめます。
1)血液検査・尿検査・便検査
炎症性腸疾患や腹部実質臓器疾患(肝胆膵疾患、腎疾患など)、自己炎症性疾患、感染症の鑑別に行います。FAPD-NOSではこれらの異常は認めません。必要時には便カルプロテクチンの検査も行います。
2)腹部単純X線・腹部超音波検査
FAPD-NOSではこれらの異常は認めません。
3)消化管内視鏡検査
器質的疾患が疑われるときのみに内視鏡を検討し、炎症性腸疾患、好酸球性腸炎、消化管感染症などを除外します。
【治療】
心理社会的介入、特に認知行動療法と腸指向性催眠療法が最も強いエビデンスがあり、第一選択となります。これらに加え標準的医療対応(説明・安心感付与・食事/生活習慣指導)と必要に応じた食事療法・薬物療法を組み合わせます。
ESPGHAN/NASPGHANでは以下を推奨しています。
- 催眠療法
- 経皮的電気神経場刺激
- 多株プロバイオティクスおよびシンバイオティクス
- 腸溶性ペパーミントカプセル
- アミトリプチリン、ドンペリドン、シプロヘプタジン
推奨されないもの:ブスピロン、メベベリン、ドロタベリン、シタロプラム、ヨガ










