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診療案内 腹部片頭痛(小児・青年期の腹痛)

腹部片頭痛(abdominal migraine:AM)

 

【腹部片頭痛とは】

 腹部片頭痛とは数週間から数ヶ月ごとに強い腹痛を繰り返し、発作は通常数時間持続することが特徴です。片頭痛の既往や家族歴、乗り物酔い、前兆となる症状(閃輝暗点や感覚障害など)を有していることがあります。

 好発年齢は6~12歳で女児に多いです。

 

【頻度】

 小児での有病率は約1~4%で、女児にやや多いです。腹部片頭痛の多くは成人期には消失しますが、成人期の片頭痛や過敏性腸症候群様の反復性腹痛に移行する可能性があります。中枢性の内臓知覚過敏や片頭痛と共通する神経学的機序が示唆されています。

 

【診断】

 診断にはRome IVの診断基準あるいはICHD-3の診断基準を満たす必要があります。

 

Rome IVの診断基準

少なくとも2回、次の全ての項目を満たす必要がある。

  1. 1時間以上持続する激しく、急性の臍周囲、正中線またはびまん性の腹痛発作エピソード(最も重篤で苦痛を伴う症状)
  2. 発作は数週間から数ヶ月間隔で発症する
  3. 痛みは自制できず、通常の活動が妨げられる
  4. 各患者固有の症状や発症様式がある
  5. 痛みは次の2つ以上の随伴症状を有する
    • 食欲不振
    • 嘔気
    • 嘔吐
    • 頭痛
    • 羞明
    • 蒼白
  6. 適切な医学的評価を行い、症状が他の疾患では説明できない

*診断前に少なくとも6ヶ月間で上記基準を満たす

 

ICHD-3の診断基準

A 基準B~Dを満たす腹痛発作が少なくとも5回認める
B 腹痛には、次の3つの特徴のうち少なくとも2つを認める
1. 腹部正中線に位置し、臍周囲または限局性に乏しい
2. 鈍痛または「ただ痛い」といった症状
3. 強さは中等度から重度
C 以下の4つの随伴症状のうち少なくとも2つを認める
1. 食欲不振
2. 悪心
3. 嘔吐
4. 蒼白
D 未治療または治療困難例の場合、発作は2~72時間続く
E 発作間歇期には完全に症状がない
F 症状が別の病態に起因しない

 

【検査】

1)血液検査、尿検査・便検査

 血算、白血球分画、肝逸脱酵素、胆道系酵素、膵酵素、CRP、ESR、Albなどから炎症性腸疾患や肝胆膵疾患などの鑑別を行います。

 尿検査では尿路感染症、糖尿病性ケトアシドーシス、間歇的水腎症を鑑別します。

 便検査では、培養、便潜血、カルプロテクチンを測定します。

2)腹部単純X線・腹部超音波検査

 イレウス、便秘、虫垂炎の他、肝臓、膵臓、腎臓の評価も行います。

3)消化管内視鏡検査

 侵襲的な検査であるので炎症性腸疾患などを疑うときにのみ行うことが考慮されます。

 

【治療】

1)非薬物療法

 ストレス、睡眠不足、特定の食品の回避などの誘因の回避と十分な睡眠・水分摂取が基本になります。

2)薬物療法

 急性期にはイブプロフェンなどの鎮痛薬が有効とされます。また、トリプタン製剤も急性発作に有効です(98%の有効性)。

 重症・頻回例にはシプロヘプタジン、アミトリプチリン、トピラマート、プロプラノロールなどの予防的治療が用いられます。

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