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診療案内 周期性嘔吐症(小児の嘔吐)

周期性嘔吐症(cyclic vomiting syndrome:CVS)

 

【周期性嘔吐症とは】

 他の項でも周期性嘔吐症(CVS)に関しては記載しましたが、ここではRome IVの診断に関して述べたいと思います。CVSは反復する激しい嘔吐エピソードと、発作間の完全寛解が特徴の症候群です。発作期には頻回の激しい嘔吐、悪心、腹痛、食欲不振などで、数時間から数日間持続しますが、自然に軽快します。

 

【頻度】

 小児における有病率は約1.9~2.3%と報告されています。発症年齢は学童期がピークで、思春期以降には片頭痛に移行するケースが多いと言われています。

 

【診断基準】

 Rome IVの診断基準を記載します。

以下の3項目全てを満たさなければならない

  1. 数時間から数日続く悪心を伴うもしくは伴わない絶え間ない発作的な嘔吐症状期間が、6ヶ月以内に2回以上ある
  2. 発作のエピソードはそれぞれの患者ごとに決まった型を持つ
  3. 嘔吐症状は数週間から数ヶ月の間隔をあけて起こり、間歇期には症状がない

 

【検査】

 除外診断のためには以下の検査を行うことがあります。

検査 目的 特徴
血液検査(CBC、電解質、肝膵酵素、アンモニアなど) 貧血、電解質異常、肝機能異常、膵炎疑い、代謝スクリーニング(NH3など) 重度嘔吐で低Cl性代謝性アルカローシスになる場合あり
NH3上昇は尿素サイクル異常を疑う
尿検査(有機酸、アミノ酸分析) 代謝性疾患(有機酸血症、アミノ酸代謝異常、脂肪酸酸化異常) 発作中の採取が診断精度を高める
救急現場ではcritical sampleを入手
頭部MRI 脳腫瘍や水頭症など、頭蓋内圧亢進や構造的問題の除外 重度頭痛や神経症状を伴う場合は必須
腹部超音波 胆嚢疾患(胆石、胆嚢炎)、腸回転異常やvolvulus、腎・尿管異常 胆汁性嘔吐時はまず上部消化管造影+超音波で異常確認
上部消化管内視鏡 頻回嘔吐による合併潰瘍(マロリー・ワイス裂傷)や胃潰瘍の確認
H.pylori感染症など
嘔吐物に血痕が混じるor腹痛が強い場合に施行

 

【警告症状 Red flags】

 下記の警告症状があれば、上記の検査が必要になります。

 

【急性期治療】

方法 具体例
非薬物療法(中等度推奨) ストレス軽減、暗室環境、静かな状態
バイオフィードバック、深呼吸
トリガー回避(光、音、匂い)
時に鍼治療や指圧など
薬物療法:抗片頭痛薬 NSAIDs(イブプロフェン10mg/kg 6~8h毎)
トリプタン系(スマトリプタン、リザトリプタンなど)
薬物療法:制吐剤 5-HT3受容体拮抗薬(オンダンセトロン0.18mg/kg、最大8mg)
NK1受容体拮抗薬(アプレピタント)
*アプレピタントで予防投薬をしている場合には最終経口投与から72時間経過しているかを確認、半減期が非常に長く、NK1受容体を数日間占有するため、頻回投与は不要
鎮静/抗不安薬 ベンゾジアゼピン系(ロラゼパム(ワイパックス)など)
抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン(トラベルミン)、ヒドロキシジン(アタラックス))
点滴補液(IVF) ブドウ糖液
ケトーシスや電解質異常是正
入院管理 自宅でコントロール不能な発作
脱水や電解質異常が重篤な場合
頻回救急受診時

 

【予防】

治療 具体例 コメント
非薬物療法 トリガー回避(ストレス、過度な疲労、睡眠不足、特定食品)
心理療法(認知行動療法、ストレスマネージメント)
生活習慣改善(十分な睡眠、規則正しい食事)
エビデンスは限定的だが副作用は皆無
サプリメント(ビタミン剤) リボフラビン(ビタミンB2)100~200mg/日
CoQ10 100~200mg/日
マグネシウム(酸化/グリシネート)9mg/kg程度(上限400mg)
リボフラビンは中等度のエビデンスがある
CoQ10はコスト面と製剤差がある
マグネシウムは下痢の副作用
βブロッカー プロプラノロール0.25~0.5mg/kg/日 分割投与 低~中等度エビデンス
喘息があれば禁忌
抗セロトニン薬(5-HT2A受容体拮抗薬) シプロヘプタジン0.25~0.5mg/kg/日(最大12mg/日) エビデンスは低い
体重増加、眠気の副作用
NK1受容体拮抗薬 アプレピタント
NASPGHANの推奨(125mg/80mg/80mgを週3回)
非常に有望だがコストが高い 保険適用外
三環系抗うつ剤(TCA) アミトリプチリン0.5~1.5mg/kg/日 就寝前投与 難治例に使用
抗てんかん薬 トピラマート、バルプロ酸など 推奨度は低い
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