乳児反芻症候群(はんすう)rumination syndrome
【乳児反芻症候群とは】
反芻とは哺乳・摂食後に自己刺激を得るために胃の内容物を口の中に戻す習慣的な逆流のことを示します。通常無理な力を伴いません。それを再び咀嚼・嚥下または吐き出すことを繰り返す機能性消化管疾患(FGIDs:Functional Gastrointestinal Disorders)です。
ちなみに「牛の反芻」は有名ですよね。牛には4つの胃があり、食べた草を巨大な第1胃に運び、そこにいる微生物が硬い繊維質を分解します。第1胃、第2胃にある食物を口に戻してすりつぶし細かくします。第1~3胃は人間の食道の役目を果たし、第4胃で消化・吸収を行なっています。
焼肉屋ではそれぞれの胃を下記の様に呼んでいます。
第1胃:ミノ
第2胃:ハチノス イタリア料理では「トリッパ」が第2胃になります。
第3胃:ゼンマイ
第4胃:ギアラ
【頻度】
あまり多くの報告はありませんが、1.9%と言うデータがあります。決して多くはありません。
【病態】
食後に腹壁筋(多くは無意識の収縮)によって胃内圧が上昇し、同時に下部食道括約筋(LES)圧が低下しているタイミングで胃内容物が逆行性に食道に流入することで生じます。
【診断】
ここではRome IVの診断基準を示します。
少なくとも2ヶ月間、以下の全てをふくむこと
- 腹筋、横隔膜、舌の反復的な収縮
- 胃内容物を容易に逆流させ、口から排出する、あるいは再咀嚼か再嚥下する
以下の3項目以上を満たす
- 生後3~8ヶ月の間に発症する
- 胃食道逆流や逆流性食道炎の治療に反応しない
- 苦痛の徴候がない
- 睡眠中や人と接しているときにはおこらない
【臨床的特徴】
- 症状は哺乳・食事の直後に出現し、睡眠中は生じないのが典型的です。
- 乾嘔(retching:からえづき)を伴わず、他の医学的疾患で完全に説明できないことが大切です。
- 難治性の胃食道逆流現象(GERD)や嘔吐と誤診されやすく、診断が遅れることがあります。
- 乳児ではしばしば背弓反張(arching)や特徴的な姿勢、指しゃぶりの様な自己刺激的行動を伴い、養育者との相互作用の不足や心理社会的要因と関連することも指摘されています。
- 人と接しているときに起こりにくいので診断は簡単ではありません。
【治療】
薬物による明らかな有効性は報告されていません。反芻により栄養障害をきたした場合には認知行動療法が行われます。養育者への心理教育・授乳環境の調整・relaxation techniqueの併用が中心となります。










