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診療案内 発熱と解熱剤

【発熱のメカニズム】

人間の体温は脳の視床下部(自律神経の中枢)にある体温調節中枢の働きで一定に保たれています。
ウイルスや細菌が体内に入ると、体は免疫力をフルに使用して対峙しようとしますが、その際に体温が高い方が効果が高いことがわかっています。

【発熱の原因】

発熱の原因で最も多いのは感染症です。なかでもウイルスによるものが多いので、抗生剤はほとんどの場合必要ありません。細菌感染症では溶連菌感染症、中耳炎、副鼻腔炎、肺炎、尿路感染症などがあります。

比較的少ないですが、自己免疫性疾患が原因となることがあります。自己免疫性疾患は、自分の組織を間違って攻撃する異常な抗体が作られる病気です。代表的なものとして関節リュウマチ、リュウマチ熱、全身性エリテマトーデスなどがあります。

悪性腫瘍(ガン、白血病など)により熱が出ることがあります。がん細胞自身が熱を出す場合(腫瘍熱)とがん細胞を異物として攻撃する際の発熱があります。
周期的に発熱を繰り返す周期性発熱症候群、あるいは自己炎症性疾患というものもあります。

詳しくは当院の下記のサイトを参考にしてください。
https://tsudashonika.com/disease-cat/immunity/autoinflammatory-disease/

【坐薬と飲み薬】

解熱剤には坐薬と飲み薬、そして点滴のものがあります。
点滴は入院患者さんに使用するものですから、ここでは坐薬と飲み薬について述べます。

ご家族の方から「坐薬と飲み薬、どっちの方が効きますか?」とよく聞かれます。
効果は変わりませんが、坐薬の方が粘膜から吸収されるので少し早く効く傾向はあると思います。
どちらにしても元気であれば使用する必要はありません。

また、痛み止めとして使用することがあります。
歯の痛みにも使用することがあるので、熱がなくても使用できます。通常は平熱以下に下がることはありません。
皆さんも腰の痛みなどにロキソニンを飲むことがありますよね。

【熱に対する対応】

解熱剤は一時的に熱を下げ、熱による辛い症状を和らげるためのものです。
子どもは39℃あってもとても元気で飛び回っている子もいます。そのような子どもには原則解熱剤を使用する必要はありません。

逆に38℃でも元気がない、水分も取ってくれないなどがあれば使用してみてください。
1日4回まで使用が可能ですが、4〜5時間で薬の効果は切れてしまうことが多いです。症状を一時的に和らげるのが目的ですので、必ずしも平熱に下がるとは限りませんし、効果がない時もあります。通常は1℃以上解熱して症状が軽快していればよしとしてください。

日本では布団にくるまって熱くして汗をかかせて治そうとすることがあります。確かに大人の風邪などでは葛根湯を飲み、暖かくなるものを食べて布団にくるまって汗をかかせて治すことがあります。子どもでは脱水の危険があるためお勧めできません。

また、欧米では冷たい水に入れる習慣もあるようですが、これもあまりお勧めできません。
熱の出始めで震えているようなら寒いはずですので温めてあげ、高熱で辛いときは冷やしてあげましょう。
本人が楽になるようにしてあげてください。

【お風呂に関して】

「熱がある時にお風呂に入れても良いですか?」とよく聞かれることがあります。
大人でも熱があってもお風呂に入りたいことがありますよね。元気であれば入浴は可能です。
あまり熱いお風呂、長湯を避け、湯冷めしないようにしてください。

【高熱で脳に影響を及ぼすのか?】

「高熱が出るとバカになっちゃうの?」と言う質問をされる方がいます。

体の体温は42℃以上にはならないように設定されています。41℃以上になると高体温や発熱自体が体温上昇を抑制するnegative feedback systemを保持するためです。この機構が破綻して42℃以上になると命の危険を生じます。体温計が42℃までしかないのはそのせいです。

高熱でバカになるのではなく、高熱の原因が細菌性髄膜炎や脳炎、脳症であってそのために脳の障害をきたすことがあるのです。

【受診すべき時は?】

その他にも心配な時は受診された方が良いでしょう

【解熱剤の種類】

解熱剤の種類を表にしました。
小児で発熱に対して使用できるものは原則アセトアミノフェンとイブプロフェンだけになります。

成人ではどれも使用できますが、インフルエンザに対してはアセトアミノフェンが安全です。
小児に比べて発生頻度は少ないですがNSAIDsによるインフルエンザ脳症の発症の危険があります。
川崎病などでアスピリンを服用している方は、罹患中は服用を中止するように指示されていると思います。

NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し、プロスタグランジンE2(PGE2)の合成を抑制することにより鎮痛、解熱、抗炎症作用を発揮します。アセトアミノフェンはCOX阻害作用が非常に弱いため、抗炎症作用はほとんどありません。視床下部に直接作用すると言われていますが、その詳細は明らかではありません。

中枢性のCOX阻害に加えてカンナビノイド受容体やセロトニンを介した下降性抑制系の賦活化が機序として考えられています。中枢である脳から末梢への痛みの伝達を抑制する経路(下降性抑制系)を活性化することで鎮痛効果をもたらすと推定されています。アセトアミノフェンの副作用で有名なものは肝障害です。

以前、看護師の母親が我が子の保険金目当ての殺害目的で多量のアセトアミノフェンンを飲み物に混ぜていた事件がありました。エトドラク(ハイペン、オステラック)、メロシキカム(モービック)、セレコキシブ(セレコックス))は選択的にCOX2しか阻害しないため胃腸症状が出にくいと言われています(胃腸や腎臓にはCOX1が発現しているから)。

また、喘息患者さんの中にはNSAIDsの服用により喘息発作が誘発される方がいます。以前はアスピリン喘息と呼ばれていましたがアスピリン以外のNSAIDsでも誘発されることがわかり、現在はNSAIDs過敏症という名称が使用されます。鼻茸を合併することが多いです。

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