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診療案内 腸重積

【腸重積とは】

口側腸管が肛門側に引き込まれ、腸管壁が重なり合った状態を腸重積と称し、腸重積によって引き起こされうる腸閉塞症を腸重積症と言います。

【原因】

多くの場合原因が特定できません。特発性腸重積症と呼びます。

お腹の手術をした後の腸管の動きによるものは、術後腸重積症といいます。教科書ではアデノウイルスに胃腸炎により誘発されることがあると書かれています。
そのほかにも大腸菌、サルモネラ菌などによる細菌性腸炎でも生じることがあります。

器質的疾患が原因になることがあります。先進部に小腸ポリープ、悪性リンパ腫、Meckel憩室、重複腸管、IgA血管炎(血管性紫斑病)などがあると生じることがあります。5歳以上の腸重積症では60%程度に病的な先進部病変が見られると言われています。

【病型】

1) 回腸結腸型

最も多いタイプで回腸末端が結腸に重積するタイプです。

2) 回腸回腸結腸型

回腸回腸重積が先進部になってさらに結腸に重積する回盲部重責の特殊型です。

3) 小腸小腸型

小腸同士が重積した場合で、空腸空腸型と回腸回腸型に分けられます。

4) 結腸結腸型

結腸同士が重積した場合でまれです。

【発生頻度】

我が国での腸重積の発生頻度の報告はありませんが、欧米では、1歳未満の発生頻度は10万人の出生に対して50人前後と言われています。

【好発年齢】

年齢構成は1歳未満の乳児が半数以上を占め、3カ月未満、6歳以上は少ないです。性別では男児が女児に比べて多く、2対1くらいです。

【再発率】

整復後の再発率は約10%で、観血的整復後の再発は4%前後です。

【症状】

腸重積症の3主徴として腹痛、嘔吐、血便が有名です。しかし、初診時に3つとも揃うのは10〜50%程度です。早期受診例ほど典型的な症状が揃うことは少ないです。

A) 腹痛

不機嫌、啼泣を含めて腹痛と考えると、最初に現れる頻度の高い症状です。

痛みを訴えることのできない年齢でも足を「く」の字に曲げて膝を抱え込んで不機嫌に泣いている時は腹痛と考えていいでしょう。
病初期には間欠的に出現します。10〜20分程度の間欠期があり、機嫌良く遊べる時もあります。

年長時では腹痛のみで受診することもあり、虫垂炎をふくむ急性腹症との鑑別が必要です。

B) 嘔吐

嘔吐は腹痛と同じくらい初発として頻度の高い症状です。

C) 血便

D) 全身状態不良

【診断基準】

ガイドラインによる診断基準(試案)を提示します。

【重症度】

ガイドラインによる重症度(試案)を提示します。

【治療】

重症度が重症、中等症の場合は、嘔吐に伴う循環血漿量の低下や脱水を補うために輸液が必要です。

1) 非観血的整復術

 水溶性の造影剤(6倍希釈ガストログラフィン)あるいは空気、生理的食塩水を用いて圧をかけ整復します。

 従来使用されていたバリウムを造影剤として使用するのは現在は薦められていません。(ガストログラフィンでは120cmの高さまで、空気では120mmHgまでの圧で整復します。)

 透視下での整復は3分間加圧、3回を基準とし、超音波したでは被曝の問題がないため制限がありません。
 非観血的整復での穿孔率は0.37%、空気整復では0.76%と言われています。6カ月未満の字で腸管穿孔のリスクが高くなります。

2) 観血的整復術

 腸管の壊死・穿孔ある場合、病的先進部がある場合、用手整復が不可能な場合は腸管の切除を行います。

 そうでなければ用手整復(Hutchinson手技)を行います。腹腔鏡での手術も行うことがあります。

当院では腸重積が疑われたら病院への紹介になります。

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