【中隔視神経形成異常症とは】
目の奥にある視神経が生まれつき萎縮して視力低下があり、いくつかのホルモンが十分に作られなくなるホルモン分泌不全症を伴うことの多い疾患です。
また、脳の真ん中にある透明中隔や脳梁という部分が欠損していることもあります。
【原因】
いくつかの遺伝子変異も報告されていますが、多くの原因は不明です。
若年出産、母親の喫煙、飲酒、薬物接種といった環境因子の影響も推測されています。
【頻度】
日本での報告は少なく、海外では1万人に1人というデータもあります。
【症状】
視力障害や眼振など目の症状で発症し、後から成長障害などの下垂体ホルモンの症状を認めることが多いようです。
下垂体ホルモンの症状は半数以上に認められ、成長ホルモン(GH)分泌不全が一番多く認められます。次に甲状腺刺激ホルモン(TSH)副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が認められえます。
具体的には低身長、低血糖、徐脈、多尿などの症状が挙げられます。
透明中隔欠損は28〜60%に認められ、脳梁欠損や視交叉提携性などの正中脳構造に異常が前例に認められます。
脳と眼と下垂体の3症状をきたす典型例は30%程度です。
知能は正常から重度低下までみられ、転換発作や脳性麻痺などを併発することもあります。
【検査】
下垂体の各種内分泌機能検査が必要です。
透明中隔欠損症などの脳形成異常はMRIにより検出できます。
発達機能検査も必要になります
【治療】
小児眼科、小児内分泌科、小児神経科などの複数の専門家による包括的な医療が必要です。
根本的な治療はありませんが、ホルモン分泌不全症状に対しては、対応するホルモン補充療法、てんかんに対しては抗てんかん薬が投与されます。
運動発達に関してはリハビリテーションなどで促進を促します。
【予後】
病変は非進行性ですが、ホルモン分泌不全があると、感染症にかかったり、手術などのストレスに際し、補充しているステロイドの増量が必要になることがあります。