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診療案内 滑脳症(Lissencephaly)・裂脳症(Schizencephaly)

滑脳症(Lissencephaly)

【滑脳症とは】

滑脳症は滑らかな脳(smooth brain)という意味で、肉眼的には大脳の脳回形成(脳の溝)がなくなる(無脳回(agyria))、あるいは少なくなる(厚脳回(pachygyria))状態です。胎生期においての神経細胞の移動障害(神経細胞移動異常症)により生じます。

代表的なものとしてMiller-Dieker症候群、古典的滑脳症、皮質下帯状異所性灰白質(subcortical band heterotopia; SBH)、小脳低形成を伴う滑脳症(lissencephaly with cerebellar hypoplasia: LCH),外性器異常を伴うX連鎖性滑脳症(XLAG)もしくは水無脳症(hydranencephaly)などがあります。遺伝子異常に基づき細分類されています。

【Miller-Dieker症候群・古典的滑脳症・皮質下帯状異所性灰白質】

Miller-Dieker症候群は滑脳症の代名詞として用いられることが多いです。LIS1と14-3-3ε(YWHAE)遺伝子の両者が欠失した隣接遺伝子症候群です。

無脳回と顔貌異常(小頭だが広い額、側頭部の陥凹、四角い顔、短く小さい鼻、上向きの鼻孔、薄い上口唇、小顎、耳介低位)が必発であり、他の内臓奇形を伴うこともあります。てんかんは難治性で、摂食障害を伴い肺炎をくり返し生命予後は不良です。

DCX遺伝子も滑脳症の原因遺伝子です。X連鎖性の疾患ですが、ほとんどの患者さんは女性で皮質下異所性灰白質を来します。
LIS1やDCX遺伝子変異による滑脳症の臨床的な重症度は脳回形成の障害程度に一致し、古典的滑脳症では乳児期から精神運動発達遅滞、てんかんを示し、特に点頭てんかんの併発が多いです。

【小脳低形成を伴う滑脳症(lissencephaly with cerebellar hypoplasia; LCH)】

一部には小頭症を伴う滑脳症の小滑脳症(microlissencephaly)と重複しています。著明な小脳低形成を伴う家系でリーリン遺伝子(RELN)と超低密度リポ蛋白受容体遺伝子(VLDLR)の変異が報告されています。

【外性器異常を伴うX 連鎖性滑脳症(XLAG)もしくは水無脳症(hydranencephaly)】

XLAGは男児で後頭葉優位の滑脳症もしくは水無脳症と脳梁欠損、基底核の形態異常(嚢胞、断片化、低形成)に小陰茎、停留精巣、尿道下裂などの外性器低形成を伴う疾患で、出生時に女児に間違われることがあります。
難治性痙攣をきたし、多くは1歳までに亡くなってしまいます。ARX遺伝子の異常が原因ですが、この遺伝子は非症候性精神遅滞やジストニアを伴う精神遅滞、ミオクローヌスてんかん、West症候群、太田原症候群の原因遺伝子でもあります。

裂脳症(Schizencephaly: SCH)

裂脳症は大脳皮質が脳室に到達し、くも膜下腔と脳室が交通している状態をいいます。孔脳症と同義語として用いられていましたが、胎生期の破壊性病変が強く疑われる場合のみ、孔脳症と呼ばれることが多いです。

病変の大きさにより片麻痺、両麻痺、転換、認知障害、半盲などを認めますが、無症状で偶然発見されることもあります

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