乳児逆流(溢乳:いつにゅう)infant regurgitation
【溢乳とは】
溢乳とは、胃の内容物が逆行性に不随意に流れ込み、目視できる高さに到達することです。生理的な吐き戻しであり、生後2~3週から始まり生後4~5ヶ月でピークとなります。多くは1歳、遅くとも2歳までに自然になくなります。代表的な機能性消化管疾患(FGIDs:Functional Gastrointestinal Disorders)です。
一方、嘔吐は自律神経系と骨格筋の両方を含む中枢神経系の発射によって起こり、小腸・胃・食道・横隔膜が協調的に働くことにより、胃内容物が強制的に排出されます。
【原因】
下部食道括約筋の未熟性(His角の未発達)、胃の適応の低さ、仰臥位保持時間の長さ、液体のみの食事などが原因と考えられています。
【頻度】
健常乳児の最大2/3に認められます。
【診断基準】
ここではRome IVの診断基準を示します。
健常な生後3週~12ヶ月の乳児で、以下の両方を満たさねばならない。
- 1日2回以上の逆流を3週間以上認める
- 嘔吐の前駆症状であるえづき、吐血、誤嚥、無呼吸、成長障害、嚥下障害、異常な体位を認めない
【鑑別】
胆汁性嘔吐、脱水、その他の合併症を伴う時は腸管閉鎖・回転異常や胃流出障害などの上部消化管の異常の除外が必要です。
生後1年を過ぎても症状の軽快を認めない場合や成長障害、吐血、血便、貧血・摂食障害、嚥下障害などの症状を認める場合も精査が必要です。
【治療】
原則治療の必要性はありません。プロトンポンプ阻害薬(PPI)は効果がないだけではなく、呼吸器系や消化管系の感染症をきたす恐れがあり推奨されていません。
保存的加療方法としては、食後の体位変換やミルクの粘稠度の増加、授乳方法の調整を検討します。
食後の体位変換としては左側臥位と腹臥位が逆流を減少させますが、入眠時は乳児突然死症候群のリスクがあるために推奨されません。










