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診療案内 小児の咳嗽診療ガイドライン2020のCQ.

【はじめに】

 ガイドラインは公益財団法人日本医療機能評価機構が作成した「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」に準じてエビデンス総体と推奨グレードを設定しています。ちなみにMindsとはmedical information network distribution serviceの略です。

 それによるとガイドラインとは「診療上の重要度の高い医療行為について,エビデンスの SR(Systematic Review)とその総体評価,益と害のバランスなどを考量して,患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」となっています。

 下記のCQとはClinical questionのことです。
 ガイドラインのCQをまとめました。

【CQ1】小児の長引く咳嗽に抗菌剤を推奨するか?

 推奨: 原因が明らかにできない湿性咳嗽に対しては抗菌剤を投与することを提案する。

解説: 遷延性細菌性気管支炎(protracted bacterial bronchitis)も考慮してエリスロマイシン50mg/kg/日分3x7日間、あるいはアモキシシリン/クラブロン酸を20mg/kg/日x7日間、45mg/kg/日x14日間で効果があると報告がある。

【CQ2】小児の長引く咳嗽に吸入β2刺激剤を推奨するか?

 推奨: 一律には吸入β2刺激剤を行わないことを提案する。

 解説: ただし、気道可逆性の有無を判定するためのβ2刺激薬は有用である。

【CQ3】小児の長引く咳嗽にヒスタミンH1受容体拮抗薬を推奨するか?

 推奨: 一律にはヒスタミンH1受容体拮抗薬を投与しないことを推奨する。

 解説: 強い鼻症状を伴う咳嗽に対して、要因を考慮した上でヒスタミンH1拮抗薬を処方することを妨げるものではない。

【CQ4】小児の長引く咳嗽に吸入ステロイド(ICS)を推奨するか?

 推奨: 一律には吸入ステロイド(ICS)を投与しないことを推奨する。

 解説: 喘息の長期管理においてはICSは有効であり、咳喘息に対する有効性も示されているが、一律にはICSを投与しないことを推奨する。

【CQ5】小児の長引く咳嗽にロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を推奨するか?

 推奨: 一律にはロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を投与しないことを推奨する。

 解説: 現時点では小児の慢性咳嗽に対してLTRAの有効性を示す根拠は乏しいが、軽症〜中等症の喘息に対しての有効性は報告されており、喘息の鑑別を十分行う必要がある。

【CQ6】小児の長引く咳嗽にプロトンポンプ阻害薬(PPI)治療を推奨するか?

 推奨: 一律にはプロトンポンプ阻害薬(PPI)を投与しないことを推奨する。

 解説: 胃食道逆流を有する小児の長引く咳嗽に対して、PPI治療の効果は限定的に認める報告もあるが、一律上はPPIを投与しないことを推奨する。

【CQ7】小児急性気管支炎の咳嗽に経口β2刺激剤を推奨するか?

 推奨: 一律には咳嗽に経口β2刺激剤を投与しないことを推奨する。

 解説: 喘鳴・気道閉塞を伴っているか否かに留意してβ2刺激剤の適否を考慮する必要がある。

【CQ8】小児の後鼻漏症候群による咳嗽に推奨できる薬剤はあるか?

 推奨: 一律に推奨できる薬剤はない。ヒスタミンH1受容体拮抗薬、抗コリン薬、鼻うがい、点鼻ステロイド、抗菌薬を診断的治療に用いることを提案する。

 解説: ヒスタミンH1受容体拮抗薬、抗コリン薬、鼻うがい、点鼻ステロイド、抗菌薬を診断的治療に用いるのは有効である。

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