【RSVの複製機序】
- Gタンパク質:ヒトの細胞への吸着(接着)に関与しています。
- Fタンパク質:ウイルス膜とヒト細胞膜の膜融合(細胞内への侵入)に関与しています。

ちなみにFタンパク質のFはFusionのF、Gタンパク質のGはGlycoproteinのGです。Gタンパク質は変異しやすく、Fタンパク質はあまり変異しないのが特徴です。融合前のFタンパク質はpreFと呼びます。
【予防法の種類】
RSVの予防には予防接種(ワクチン)2種類と、生物学的製剤であるモノクローナル抗体3種類があります。それぞれの特徴、適応がありますので、それを参考にされると良いでしょう。
【予防接種(ワクチン)】
予防接種には現在2種類が認可されています。ともに不活化ワクチンです。
- アレックスビー組換えRSウイルスワクチンです。RSV-A、RSV-Bの2つのウイルスのpreFタンパク質に対する2価ワクチンです。主に妊娠24~36週の妊婦さんが対象で、胎盤を介して抗体を生まれてくる赤ちゃんに届け、出生後すぐにRSウイルスから守ります。
注射部位の痛み、腫れ、頭痛、筋肉痛などの局所反応や全身症状で多くは軽度から中等度で一時的なものです。まれに高熱など認めることがあります。 - アブリスボ組換えRSウイルスワクチンです。RSV-A、RSV-Bの2つのウイルスのpreFタンパク質に対する2価ワクチンです。主に妊娠24~36週の妊婦さんが対象で、胎盤を介して抗体を生まれてくる赤ちゃんに届け、出生後すぐにRSウイルスから守ります。
注射部位の痛み、腫れ、頭痛、筋肉痛などの局所反応や全身症状で多くは軽度から中等度で一時的なものです。まれに高熱など認めることがあります。
| 商品名 | アレックスビー | アブリスボ |
|---|---|---|
| 一般名 | 組換えRSウイルスワクチン | 組換えRSウイルスワクチン |
| 種類 | 不活化ワクチン | 不活化ワクチン |
| 定期/任意 | 任意接種 ・60歳以上の成人 ・50歳以上で重症化リスクが高いと考えられる方* |
任意接種 ・妊娠24〜36週の妊婦 ・60歳以上の成人 |
| 接種回数 | 1回 | 1回 |
| 接種量・接種方法 | 0.5ml 筋肉内接種 | 0.5ml 筋肉内接種 |
| 費用 | 1回約25000円 | 1回30000〜38000円 |
【モノクローナル抗体】
- ベイフォータス(ニルセビマブ)
RSウイルスが感染する際に重要なpreFタンパクの抗原部位0に特異的に結合することによりRSウイルスを中和し、RSウイルスの複製が抑制されることにより重症化を防ぎます。抗体のFc部分の3つのアミノ酸を置換することで半減期を長くすることに成功(約71日)、約5ヶ月有効と言われています。
主な副作用として局所反応(接種部位の腫脹、発赤、痛み)、発熱、などがあり、稀にアナフィラキシーや血小板減少などが報告されています。 - シナジス(パリビズマブ)
ベイフォータスと同様にpreFタンパクの抗原部位IIに結合することによりウイルスを中和します。ベイフォータスと異なり、半減期が18〜45.8日のため月1回の接種が必要となります。
主な副作用として局所反応(接種部位の腫脹、発赤、痛み)、発熱、などがあり、稀にアナフィラキシーや血小板減少などが報告されています。 - エヌフロンシア(クレスロビマブ)
ベイフォータス、シナジスと異なり、preFタンパクの抗原部位IVに結合することによりRSウイルスの細胞内への侵入を阻害します。抗原部位IVはRSウイルスA型およびB型で99.8%保存されており、変異が起こりにくい抗原部位です。半減期は44日のためRSシーズンに1回だけ筋肉内注射をします。
主な副作用として局所反応(接種部位の腫脹、発赤、痛み)、発熱、などがあり、稀にアナフィラキシーなどが報告されています。
| 商品名 | ベイフォータス | シナジス | エヌフロンシア |
|---|---|---|---|
| 一般名 | ニルセビマブ | パリビズマブ | クレスロビマブ |
| 種類 | モノクローナル抗体 | モノクローナル抗体 | モノクローナル抗体 |
| 定期/任意 | 任意 初回シーズンのみ対象: ・在胎期間28週以下の早産児(12ヶ月齢以下) ・在胎期間29〜35週の早産児(6ヶ月齢以下) 初回・2回目シーズンが対象: ・基礎疾患(慢性肺疾患、血行動態に異常のある先天性心疾患、免疫不全、ダウン症候群)を持つ24ヶ月齢以下の乳幼児 |
任意 ・在胎期間28週以下の早産児(12ヶ月齢以下) ・在胎期間29〜35週の早産児(6ヶ月齢以下) ・基礎疾患(気管支肺異形成(BPD)、血行動態に異常のある先天性心疾患、免疫不全、ダウン症候群、肺低形成、気管狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症、神経筋疾患)をもつ乳幼児(24ヶ月齢以下) |
任意 ・在胎週数35週以下の早産児で、12ヶ月齢以下の新生児および乳児 ・過去6ヶ月以内に慢性肺疾患の治療をうけた12ヶ月齢以下の新生児および乳児 ・12ヶ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児および乳児 ・12ヶ月齢以下のダウン症候群の新生児および乳児 ・上記以外のすべての新生児・乳児 |
| 接種回数 | 1シーズンに1回(1シーズンあるいは2シーズン) | 対象疾患・在胎週数による | 1シーズンに1回 クレスロビマブとして105mg(初回流行期のみ) |
| 接種方法 | 筋肉内注射 | 筋肉内注射 | 筋肉内注射 |
| 費用 | 保険対象 体重・接種回数による |
保険対象 体重・回数による |
保険未収載 一定量 |










