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診療案内 Epstein-Bar(EB)ウイルス感染症(伝染性単核症:IM)

【EBウイルスとは】

EBウイルスはヒトヘルペス属のDNAウイルスで他のヘルペス属ウイルスと同様に終生ヒトと共生関係をたもち、長期にわたって潜在します。世界中に普遍的に存在し、ほぼ100%の方が感染します。

一旦感染すると終生体内に残り、ときどき唾液の中に出てきます。伝染性単核症はキスをすることによりうつることもあるので「キッシングディジーズ(Kissing disease)」とも呼ばれています。

免疫系を激しく揺さぶるウイルスで非定型的な症状を呈することもあり、他系統の細胞のがん化にも関係することが知られています。免疫の低下している状態(移植後、免疫不全など)で感染すると重篤になる恐れがあります。

 

ヒトヘルペス属ウイルス(Human herpes virus: HHV)

ヒトヘルペス属ウイルス

 

【感染様式】

飛沫感染 接触感染

 

【潜伏期】

30〜50日くらいと考えられています。

 

【症状】

無症状から死に至る迄多彩な症状を呈しますが、ほとんどの方は無症状に終わります。
2〜3歳児で検査すると約80%の子どもが既に感染しています。一部の子どもが伝染性単核症として発症します。
初感染の年齢が高いほど伝染性単核球症の発症率は高まります。成人期では約50%が伝染性単核症として発症します。

ここでは伝染性単核球症の症状を中心に示します。診断の項の表も参考にして下さい。
代表的な症状は発熱、滲出性扁桃炎(白苔のついた扁桃炎)、頚部リンパ節腫脹、肝脾腫、湿疹です。

病初期に目のまわりが腫れる(眼瞼浮腫)があります。
また、鼻閉、いびき、強い口臭、睡眠時無呼吸を呈することも多いです。本症にペニシリンを使用すると高率に発疹が出現することが知られています。

EBV感染症の臨床像

EBV感染症の臨床像

 

非定型的EBV感染症の臨床的特徴

非定型的EBV感染症の臨床的特徴

 

【診断】

EBウイルスによる伝染性単核症の診断基準

臨床症状:以下の内3項目以上を満たす

発熱

扁桃・咽頭炎

頚部リンパ節腫脹

肝腫大あるいは脾腫

検査成績

末梢リンパ球数≧50%あるいは≧5,000/μl

異型リンパ球数≧10%あるいは≧1,000/μl

CD8+DR+≧10%もしくは≧1,000/μl

血清学的所見:以下うち1項目以上を満たす

抗VCA-IgM抗体陽性

抗VCA-IgG抗体の4倍の上昇

抗EA-IgG抗体の一過性上昇

抗VCA-IgG陽性でのちにEBNAが出現

すべてのEBV抗体が陽性で、PCR法によるリンパ球中のEBVDNAが陽性

 

【合併症】

Gianotti症候群という四肢伸側に多発性の丘疹を生じることがあります。
原因はEBウイルスだけではなくB型肝炎なども知られています。
解熱後も疲れが長期に残ることがあり,感染後疲労状態(Postinfectious fatigue)と呼ばれています。
10%くらいの方にみられます。一時は慢性疲労症候群の原因がEBウイルスではないかと言われたこともありましたが、現在では否定的です。

中枢神経系の合併症としては無菌性髄膜炎、脳炎、脊髄炎、視神経炎、脳神経麻痺、横断性脊髄炎、不思議の国のアリス症候群、ギラン・バレー症候群などがあります。

血液学的合併症には脾臓破裂、血小板減少症、無顆粒球症、溶血性貧血、血球貪食症候群あるいは血球貪食性リンパ球増殖症があります。

その他には肺炎、睾丸炎、心筋炎などが知られています。
EVウイルスはいろいろな悪性腫瘍の原因になることも知られており、バーキットリンパ腫を含むリンパ腫、上咽頭がんなどの原因にもなります。
問題は非定型的なEBV感染症です。詳細はここでは控えますが上記の表を参考にして下さい。

 

 

【治療・予防】

治療は原則対処療法だけになります。入院が必要な重症な例にはステロイドを使用することもあります。
誰もが既に罹患し体内に持っていることや、定期的につばに出ることなどから予防法はなく、隔離も必要ありません。

 

【登園・登校基準】

特殊な型のEBウイルス感染症でなく合併症もなければ、解熱して全身状態が良ければ登園可能と考えます。

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