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診療案内 オスラー病(遺伝性出血性末梢血管(毛細血管)拡張症)

オスラー病とは

全身の血管に異常があり、出血症状が現れる疾患です。下記の診断基準で「確実」であり、かつ重症度分類で3以上であれば難病指定を受けることができます。

頻度

日本では5,000~8,000人に一人と言われますが、必ずしも症状が現れることはありません。約10,000人の患者さんがいると言われています。

遺伝形式

常染色体顕性(優性)遺伝形式をとります。親の片方に病気の遺伝子があれば50%の確率で子どもに遺伝すると言うことです。

原因

原因遺伝子としてENG(エンドグリン)、ACVRL1(ALK1)、SMAD4が知られており、それぞれHHT1(1型)、 HHT2(2型)、若年性ポリポーシスとの関連がわかっています。

診断基準

下記の項目のうち3つ以上が当てはまれば「確実」、2つならば「疑い」、1つなら「可能性が低い」になります。

  1. 鼻出血(自然かつ反復性であること)
  2. 皮膚の毛細血管拡張症(口唇、口腔、手指、鼻など)
  3. 内臓の血管病変(胃腸の毛細血管拡張、肺・肝臓・脊髄などのどう静脈奇形)
  4. 家族歴(親子兄弟にオスラー病と診断された人がいる)

小児では上記の症状だけでは診断できないこともあります。必要に応じて上記の遺伝子検査がなされることがありますが、保険の適用ではありません。

症状

鼻出血

90%以上の患者さんで見られます。子どもの頃は正常のお子さんでもよく見られますので、回数が少ない時には診断が困難です。

皮膚粘膜の毛細血管拡張

鼻、指先、手、唇、口腔内などに生じます。多くは40歳以前に出現します。点状、網状、クモの巣状などの形状をし、圧迫により赤色が消えることが特徴です。

内臓の血管病変

  1. 消化管の毛細血管拡張
    患者さんの30%程度で見られる症状です。出血が多ければわかりますが、少量の出血が持続するだけだと貧血で見つかります。内視鏡で出血部位を特定します。
  2. 肺動静脈瘻
    15~30%の患者さんで見られる症状です。脳膿瘍、肺塞栓、感染性心内膜炎や心筋梗塞や脳梗塞などの塞栓症の原因になり得ます。レントゲン、CT-scan、超音波検査、MRIなどで診断します。
  3. 肝臓血管奇形
    症状が出ることはほとんどありませんが、まれにアンモニア値が高くなったり、門脈圧が上がることがあります。
  4. 脳血管奇形
    脳動脈奇形、動静脈瘻、毛細血管奇形の3種類のタイプがあり、脳動脈奇形と動静脈瘻の2つでは重篤な頭蓋内出血を起こすことがあります。
  5. 脊髄血管奇形
    小児で見つかることの多い血管病変で、運動障害やシビレ感、膀胱直腸障害などの症状が出ることがあります。

【治療】

 根本的な治療はないので、それぞれの出血に対する予防的治療のみとなります。

【重症度】

 下記のサイトを参考にしてください。

https://www.hht.jpn.com/hht-ess/

https://storage.e.jimdo.com/file/498ac809-7796-47f7-8ca8-60c1dcfb192d/Epistaxis%20severity%20score_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%B0%A1%E6%98%93%E7%89%88_%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%82%E3%82%8A.pdf

【予後】

 上記の重篤な症状がでなければ、予後は通常良好です。

【患者会】

 日本オスラー病患者会があります。

https://www.hht.jpn.com/

【トリビア】

 オスラー病は、偉大なるウイリアム・オスラーにちなんだ名前です。彼は世界で始めての私立大医学部のジョンズ・ホプキンス大学病院の初代内科部長です。彼の「病気診ずして、病人を診よ」は有名なことばで、患者中心の医療を行い指導していました。現在の医学教育にも通ずるベッドサイドの教育や、レジデント制度の確立にも寄与しています。

 ちなみに、その時の外科部長はウイリアム・スチュアート・ハルステッドです。乳がんの根治手術でその名を残していますが、外科手術の使い捨てゴム手袋による無菌手術の確立も有名です。

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