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診療案内 血球貪食性リンパ組織球症 (ウイルス関連血球貪食症候群)

【基本病因】

血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis : HLH)は、持続する発熱、汎血球減少、肝脾腫、播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation : DIC)および骨髄内での血球貪食像を特徴とする全身性の炎症性疾患です。
遺伝子異常を背景とする一次性と感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患などの基礎疾患に続発する二次性のHLHがあります。ここでは主にウイルス感染症に起因する二次性のHLH
ウイルス関連血球貪食症候群(viral associated hemophagocytic syndrome : VAHS)に関して説明したいと思います。感染関連血球貪食症候群(IAHS : infection-associated hemophagocytic syndrome)、 血球貪食症候群(HPS : hemophagocytic syndrome)とも呼ばれます。

【病態】

何らかの原因による宿主の免疫応答の破綻による制御不能なサイトカイン産生です。それによって活性化されたマクロファージが血球を貪食するとともに新たなサイトカインを産生放出する悪循環です。IFNγ、sIL-2R、TNFα、インターロイキン-1(IL-1)、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、M-コロニー刺激因子(M-CSF)など様々なサイトカインの上昇が報告されています。これらのサイトカインの上昇は免疫細胞のみならず、様々な臓器、細胞に対しても悪影響を与えます。

【分類】

  1. 先天性/原発性HPS

    家族性血球貪食性リンパ組織球症(FHL

  2. 反応性/二次性HPS
    1)感染関連(IAHS)
    ウイルス(VAHS):EBウイルス(EBV-AHS)、その他のウイルス
    細菌(BAHS)
    真菌
    リケッチア原虫、その他

    2)疾患関連
    悪性腫瘍(MAHS)
    悪性リンパ腫(LAHS)
    その他(急性白血病、胚細胞腫瘍、乳がんなど)
    非悪性腫瘍
    自己免疫疾患(SLE、成人Still病など)(AAHS)

    3)薬剤関連
    フェニトイン、TMP-SMXなど

VAHSの原因ウイルスは多岐に渡ります。EBウイルス、サイトメガリウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、HHV-6、HHV-8などのヘルペス族のウイルスが代表です。そのほかにもアデノウイルス、デングウイルス、肝炎ウイルス、HV、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルスなどでも発症します。年齢が上がるにつれEBウイルスの占める割合が多くなる傾向です。

【症状】

ほぼ全例で見られるのは、発熱、脾腫、血球減少です。そのほかにも肝腫大、リンパ節腫脹、皮疹、中枢神経症状、黄疸、浮腫など高サイトカイン血症に起因する全身症状です。

【検査所見】

検査所見で最も目立つのは血球の減少です。絶対値より進行性であることが重要です。その他、高フェリチン血症(マクロファージの活性化、炎症性サイトカインの増加、血球貪食による細胞障害とフェリチン放出が主因)、高トリグリセリド血症も特徴です。溶血を示唆する高LDH血症、高ビリルビン血症も見られることがあります。サイトカインでは可溶性IL-2受容体(sIL-2R)が高い時は要注意です。

【診断基準】

色々な診断基準がありますが、ここではその一つを提示します。

A.HLHの診断基準

1.発熱(期間>7日、ピーク>38.5℃)

2.血球減少(2系統以上が侵され、骨髄の低形成・異形成は除外)
Hb<9g/dl、PLTs<<100×109/l、ANC<1.0×109/l

3.高フェリチン血症(>年齢相当正常値の3SD、通常1,000ng/ml)
高LDH血症(>年齢相当正常値の3SD、通常1,000IU/l)

4.骨髄中の成熟組織球の増加(有核細胞の3%以上、あるいは2,500細胞/μl以上で、著明な血球貪食像を伴う)あるいは肝臓、脾臓、リンパ節の血球貪食細胞の増加

B.成人HPSのための診断基準

1.一週間以上持続する高熱

2.原因不明の進行性の少なくとも2系統以上の血球減少

3.骨髄中の成熟組織球の増加(有核細胞の3%以上、あるいは2,500細胞/μl以上で、著明な血球貪食像を伴う)あるいは肝臓、脾臓、リンパ節の血球貪食細胞の増加

【治療】

VAHS治療の原則は1) 病因ウイルスに対する治療 2)高サイトカイン血症の制御 3)ウイルス感染クローンの除去 4)支持療法になります。
病因ウイルスに対する治療
全てのウイルスに対してあるわけではありませんが、アデノウイルスに対するビダラビン、ヘルペスウイルス8型に対するフォスカーネットが有効という報告があります。静注大量γグロブリンが有効との報告も多いです。
高サイトカイン血症の制御
血漿交換もありますが、薬剤としては副腎皮質ステロイド+シクロスポリン+エトポシドの3剤併用が基本です。
ウイルス(特にEBV)感染クローンの除去
治療抵抗性のVAHSに対しては悪性リンパ腫に準じた多剤併用療法や骨髄移植も検討されます。
支持療法
二次感染、DIC、中枢神経症状、肝障害などに対するサポートです

【予後】

様々です。予後を予測することも困難です。

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