【止血の機序】
血が止まるメカニズムには一次止血と二次止血があります。血管が破れるとます血管が収縮します。そこに血小板が集まってフォン・ビレブランデ因子(VWF)を仲介して傷口と結合して血小板による血栓ができます。これが一次止血です(血小板血栓)。これだけでは頼りないので凝固因子というものによる止血が始まります。凝固因子は13まで名付けられていますが、実際には12個あります。第IV因子以外はタンパク質です。第IV因子はCaイオンでVI因子は欠番です。最終的にはフィブリンという物質の網の膜が血栓をおおい固めて止血が完了します。これが二次止血です(フィブリン血栓)。

【出血傾向を示す病気】
上記のように、血を止めるためには血管、血小板、凝固因子などが関与します。
血管の病気
- オスラー病(遺伝性毛細血管拡張症)
- 血管拡張性肉芽種
- 壊血病(ビタミンCの欠乏により血管がもろくなる病気です)
- エーラス・ダンロス症候群(コラーゲンの異常により血管や組織がもろくなる病気です)
- その他
血小板の病気
- 数の異常:血小板の数が減る病気には、作ることが減る病気と、消費することが亢進する病気があります。免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)が代表です。その他には白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群(MDS)、薬剤性、肝硬変、脾機能亢進症、ウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)、エプスタイン症候群、フェチナー症候群などがあります。また、全身性ループエリテマトーデス(SLE)に合併する血小板減少、Evans症候群(自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と免疫性血小板現象性紫斑病(ITP))、Fanconi貧血、TAR症候群(thrombocytopenia-absent radius)などもあります。
- 機能の異常
フォン・ビレブランド症候群、Glantzmann血小板無力症(GPIIb/IIIa複合体の遺伝的欠損)、ベルナール・スーリエ症候群(GPIb/IX/V複合体の遺伝的欠損により粘着能が障害される)、ストレージプール病などがあります。また、アスピリンなどの薬剤で血小板の機能が落ちることもあります。
凝固因子の病気
遺伝性(先天性)疾患
代表的なものは血友病AとBです。そのほかの類縁疾患には第VII、X、XI、XIII因子の欠損やフィブリノーゲン異常症(常染色体顕性遺伝)などがあります。
後天性疾患
肝硬変、肝炎などの肝疾患、ビタミンK欠乏、播種性血管内凝固症候群(DIC)、自己免疫性後天性凝固因子欠乏症などがあります。
【問診】
検査の前にまず問診です。年齢、出血の発症の程度、誘因、その誘因に対してすぐ発症したのか、遅れて発症したのか、出血の重症度、出血部位、出血の状況(点状出血なのか紫斑なのかなど)、随伴症状、家族歴、服用している薬はないかなどを聴く必要があります。また、虐待は否定しなければなりません。
【診察】
出血部位の大きさ、部位などを確認します。心雑音があれば心内膜炎、関節症状があれば血友病、関節の過剰進展があればエーラス・ダンロス症候群、親指や橈骨の異常があればFanconi貧血、TAR症候群が疑われます。肝臓や脾臓の腫大の確認も必要です。
【検査】
全血球計算(CBC)では貧血の有無、血小板の数がわかります。塗抹標本を見ることにより、血小板の大きさを見ることができます。
PT(Prothrombin Time)は主に外因性、PT(prothrombin time)、aPTT(activated partial thromboplastin time)では主にXIII因子以外の内因性の凝固因子の状態を見ることができます。ますは全血球計算とPT、aPTTの検査になると思います。
詳しい検査では血小板機能の検査、フォン・ビレブランド因子(vWF)、各凝固因子の測定をします。
【検査結果】
血小板減少、血小板形態異常
a.血小板減少:免疫性血小板減少性紫斑病、白血病、感染など
b.血小板機能異常:ベルナール・スーリエ症候群、ウィスコット・オルドリッチ症候群など
PT延長
a.ビタミンK欠乏、ワーファリン服用など
b.凝固因子欠乏:第VII、II、V、X因子欠乏
c.ヘパリン使用、SLE、リンパ腫、ペニシリン、ウイルス感染後
aPTT延長
a.血友病A、血友病B、ハーゲマン因子(第XII因子)欠乏
b.フォン・ビレブランド病
c.ヘパリン使用、SLE、リンパ腫、ペニシリン、ウイルス感染後
vWF異常:フォン・ビレブランド病
TT延長
a.フィブリノーゲンの病気
b.尿毒症
c.肝疾患
PT延長、aPTT延長、TT延長、フィブリノーゲン値低下、FDP(fibrin degradation products)値上昇、D-dimers上昇
a.播種性血管内凝固症候群(DIC)
b.肝疾患
検査結果すべて正常
a.第XII因子欠乏症
b.血小板機能異常:薬剤性、全身疾患の二次的に生じたもの、Glantzmann血小板無力症、ベルナール・スーリエ症候群
c.血液疾患以外のもの:虐待、エーラス・ダンロス症候群、IgA血管炎、遺伝性毛細血管拡張症、血管炎、壊血病など










