乳児臍疝痛(コリック)infant colic
【乳児コリックとは】
乳児臍疝痛とも呼ばれます。健康な乳児期早期にみられる、あやしても泣きやまない状態のことで、わが国では黄昏泣きとして知られていました。ちなみに「黄昏」は「たれそ彼は」が由来ですよね。日没直後に人の顔の区別がつかないことから名付けられました。朝の暗い時にも対応する言葉があります。「かわたれ」です。「彼はたれそ」が由来です。現在では朝の暗い時も「黄昏」と呼ぶようですが・・・
西洋では腰をかがめている様子から腹部の不快な症状であろうということで、腸colonを意味するギリシャ語の「kolikos」が語源だそうです。
【定義】
1954年Wesselにより提唱された定義としては「1日のうち3時間以上泣きわめく状態」が「1週間の内3日以上」、それが「3週間以上持続する」という「3sのルール」でした。なんか無理やり3にこだわっています。覚えやすいようにしたのでしょう。
【頻度】
Rome IVの診断基準で報告されているのは中国からの14.9%でした。以前も17.7%でしたからそのあたりでしょうか。
【診断】
Rome IVの診断基準では
- 生後5ヶ月未満に出現し消失する
- 症状は、明らかな原因がないのにもかかわらず、保護者によっても予防も解決もできない。啼泣・ぐずり・過敏な状態が遷延し繰り返す
- 体重増加不良や発熱、病気が存在しない
となっています。
【病因】
ミルクアレルギーや乳糖不耐症などの腸管因子、神経的因子、発達因子、社会的因子、環境因子などが考えられています。腸管における微小炎症が生理的なものを超える啼泣を生じている可能性があります。
【鑑別】
| 病歴と身体所見 | 疑う疾患 | |
|---|---|---|
| 頭頸部 | 発熱、活気不良、大泉門膨隆、項部硬直 | 細菌性髄膜炎 |
| 爪で引っ掻いた、目の充血、眼瞼裏の異物 | 角膜損傷 | |
| 目の充血、眼脂 | 角膜混濁 | |
| 目の充血、瞳孔散大 | 緑内障 | |
| 発熱、鼓膜の発赤と中耳液貯留 | 急性中耳炎 | |
| 口腔粘膜の剥離できる白い偽膜 | 鵞口瘡 | |
| 発熱、歯肉の発赤・腫脹 | ヘルペス歯肉口内炎 | |
| 発熱、口腔内の水疱、口内炎、流涎 | ヘルパンギーナ | |
| 発熱、頸部リンパ節腫脹 | 川崎病、咽後膿瘍、頸部リンパ節炎 | |
| 持続した発熱からの解熱期、発疹はでないときもある | 突発性発疹 | |
| 哺乳後に反り返ったり、首をひねったりして不機嫌になる。哺乳不良、体重増加不良 | 胃食道逆流症 | |
| 鼻汁、呼吸促迫、喘鳴 | 急性気管支炎 | |
| 鼻汁、nasal stridor | 鼻閉 | |
| 胸部 | 著明な頻脈 | 発作性上室性頻脈 |
| 鎖骨の腫脹・圧痛 | 鎖骨骨折 | |
| 腹部 | 排便回数の減少、腹部膨隆 | 便秘症 |
| 嘔吐、下痢 | 急性胃腸炎 | |
| 嘔吐、間歇的な啼泣、腹部腫瘤、血便 | 腸重積症 | |
| 嘔吐開始後に不機嫌、嘔吐、血便が出る | 新生児乳児消化管アレルギー | |
| 鼠径部の腫瘤 | 鼠径ヘルニア | |
| 殿部・陰部の発赤 | オムツ皮膚炎 | |
| 発熱はあるが、感冒症状に乏しい | 尿路感染症 | |
| 四肢 | 指先の発赤腫脹、近位部に髪の毛が巻きついている | ターニケット症候群 |
| 皮膚 | 病歴が頻繁に変わる、新旧の皮下出血の存在、目などの不自然な外傷 | 虐待 |
【治療】
診断が明らかであれば、保護者を落ち着かせることが最も重要です。生後6~8週目に啼泣がピークとなり、1日の中では午後から夕方によく見られること。この時期を過ぎれば落ち着いてくることなどを説明します。
他の項でも書いてありますので参考にしてください。
https://tsudashonika.com/wp-content/themes/tsuda_clinic-themes/pdf/childcare_advice.pdf
【予後】
予後は良好ですが、激しい啼泣が虐待に繋がることもありますので注意が必要です。










