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診療案内 小児家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia; FH)

【家族性高コレステロール血症とは】

FHはlow-density protein受容体およびその関連する遺伝子の異常により高コレステロール血症を呈する遺伝性疾患です。
小児期から粥状動脈硬化が進行するためにできるだけ早く診断し食事を含めた生活習慣の改善が必要です。
常染色体優性遺伝形式を取るので両親のうち1人でもこの病気があるとお子さんには1/2の確率で遺伝します。
遺伝子は両親から1つずつ遺伝するのですが,その片方だけの異常でも発症します。これをヘテロ接合体と言います。療法の遺伝子に異常があることをホモ接合体といい、より重症になります。両親ともがこの遺伝子の異常を持ったりするとヘテロ接合体は1/2の確率で、ホモ接合体は1/4の確率で生じます(正常は1/4)。

 

【頻度】

ヘテロ接合体は200〜500人に1人、ホモ接合体が16万人に1人とされています。
ご家族に高脂血症のある方は是非検査をして下さい。

 

【症状・検査】

高LDL血症、腱黄色腫、早期発症性の冠動脈疾患(男性55歳未満、女性65歳未満)です。遺伝的でない高コレステロール血症に比べて発症が早く、それに伴う臓器障害の程度も強いため,小児期からの介入が必要とされています。
小児のヘテロ接合体では、出生児から高LDL-C血症が存在していますが、冠動脈疾患に関連した症状はほとんど認めることはありません。そのため採血による偶発的に気がつかれることが多いのが現状です。しかし、動脈硬化は10歳頃から急速に進行すること、薬剤(スタチン系)によりその進行が抑制できることが明らかにされています。
そのためにも早期の発見が必要です。

 

【診断基準】

  1. 高LDL血症:未治療時のLDL≧140mg/dl
    (総コレステロール値≧220mg/dlの場合はLDL-Cを測定する)
  2. FH或いは早発性冠動脈疾患の家族歴(2親等以内の血族)
  3. ●続発性(二次性)高脂血症を除外し、2項目が当てはまる場合、FHと診断する。
    ●成長期にはLDL-Cの変動があるため、注意深い経過観察が必要である。
    ●小児の場合、腱黄色腫などの臨床症状に乏しいため、診断医は家族FHについて診断することが重要である。必要に応じて2親等を越えた家族調査も参考にする。
    ●早発性冠動脈疾患は男性55歳未満、女性65歳未満で発症した冠動脈疾患と定義する。
    ●黄色腫がある場合、LDL-Cは非常に高値であること(ホモ接合体)が疑われる。

小児期はLDL-C値の変動があるため、複数回の測定が必要です。
FH或いは早発性の冠動脈疾患の家族歴(両親、祖父母、兄弟姉妹など)が重要です。
どなたかがFHと診断されたなら他のご家族の中にも同じ病気をお持ちの方がいる可能性が高いのでスクリーニングが必要です。

 

【鑑別診断】

  1. シトステロール血症
  2. ATP-binding cassette transporter G5,G8遺伝子(ABCG5,ABCG8)の異常により生じる
    常染色体劣性遺伝形式を取る疾患で黄色腫のわりにはLDL-Cはあまり高くありません。

  3. 脳腱黄色腫(27ヒドロキシラーゼ欠損症)
  4. Sterol 27-hydroxylase遺伝子(CYP27A1)の異常により生じる常染色体劣性遺伝子形式を取る進行性神経障害です。血清のコレスタノールが上昇しますが、コレステロールは高くないのに黄色腫が著明です。脳にも蓄積し神経症状を呈します。

  5. Wolman病(リソソーム酸性リパーゼ欠損症)
  6. リソゾーム酸性リパーゼ遺伝子(LIPA)の異常により生じる常染色体劣勢遺伝形式を取る疾患です。典型的には長命な肝脾腫大、脂肪肝・肝硬変に至る肝障害を呈しますが、重症度は様々で成人になるまで診断されない例もあります。成人では高LDL-C血症を呈することが多いです。

  7. 二次性の疾患
  8. ネフローゼ症候群、肥満、甲状腺機能低下症、神経性食欲不振症、糖尿病、食事性(乳製品の過剰摂取)、胆汁うっ滞性肝障害、薬剤性(ステロイド、シクロスポリンなど)があります。

 

【治療】

    (1)生活習慣改善・指導

  1. 生活習慣の改善
  2. 診断されたならできるだけ早期から食事を含め他生活習慣の改善が必要となります。しかし、生活習慣の改善だけではLDL-Cを目標値まで下げることは難しく多くの場合薬物療法が必要となります。薬物療法が始まっても、生活習慣の改善は継続しなければなりません。これはホモ接合体の患者さんでも同じです。

  3. 食事療法
  4. 年齢、体格に応じた柄年ルギーの接種が必要です。成人と同様にバランスは脂肪エネルギー比20〜25%、炭水化物エネルギー比50〜60%が推奨されています。
    小児では厳格な食事療法は難しいことが多く、伝統的な日本食パターンの食事を中心として,バランスの良い食事をすることを勧めます。

  5. 肥満対策
  6. 肥満度が学童では±20%、幼児では±15%以内が適正な体重です。

  7. 運動療法
  8. 冠動脈疾患がなければ有酸素運動を31日30分以上することがのぞましいです。

  9. 喫煙と受動喫煙の防止
  10. 子どもは原則たばこを吸いませんが受動喫煙もリスクが高まります。本人のみならず家族や周囲の喫煙も必要です。

    (2)薬剤療法(ヘテロ患者に対する)

    小児においても上記の生活改善をしてもLDL-C値が180mg/dl異常が持続する場合、10歳以上であれば男女を問わず薬物療法の開始が必要となります。小児で使用できるスタチンはピタバスタチン(リバロ)です。1日1回1mgで開始し効果が認められない場合には2mgまで増加できます。15歳以上であればその他の強力スタチンの使用も可能です。
    治療目標はLDL-C値を140mg/dl未満を維持することです。定期的に肝機能、CK(クレアチニニンキナーゼ)、血清脂質値、筋肉痛などの症状を見ていきます。最初は1か月後、必要があればもう一回1か月後診察して問題がなければ3〜4か月に一度検査診察となります。

    (3)小児FHホモ接合体の薬物治療

    スタチンを最大量まで私用しても効果が認められない場合、専門医療機関にて速やかにLDLアフェレーシス治療の開始になります。

 

【フォローアップ】

3か月に一度程度の血液検査等が必要となります。

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