【脳震盪とは】
頭部、頸部、または身体に外傷性の機械的力が加わり、頭蓋内で脳が激しく動くことにより引き起こされる、神経学的または認知能力の低下に伴う複雑なプロセスを言います。
一過性および可逆性の意識や記憶の喪失を伴います。
頭を強く打っていなくても脳震盪になることがあります。
また、意識消失がなくても脳震盪であることもあります。CTやMRIでは異常は認めません。
【症状】
脳震盪を疑う明らかな手がかり
- 意識がない、または反応がない
- 倒れて動かない/すぐに起き上がれない
- 歩くのが不安定/バランスが悪く転ぶ/動作がぎこちない
- 何かにつかまろうとする/頭を手で押さえている
- ぼーっとしている、うつろな様子、放心状態
- 混乱している/何の競技か、何の試合または大会かわからない
脳震盪を疑う徴候と症状
- 意識消失
- 頭痛
- ひきつけ、けいれん
- めまい
- 足もとがふらつく
- 混乱している
- 嘔気・嘔吐
- 動作が鈍く感じる
- 眠気
- 「頭がしめつけられる」
- いつもより感情的
- ぼやけてみえる
- 怒りっぽい
- 光に過敏
- 悲しくなる
- 健忘(記憶が欠落している)
- 疲れた様子、やる気が出ない
- 「霧に中にいる」ような感じ
- 心配げな、あるいは不安げな
- 頸部痛
- 「何かおかしい」
- 音に敏感
- 思い出せない
- 集中できない
記憶
以下の質問のいずれか一つでも正しく答えられなければ、脳震盪を疑います。
- 「今日はどこの競技場に来ていますか?」
- 「今は前半ですか?後半ですか?」
- 「この試合で最後に点を入れたのは誰でしたか?」
- 「先週/前回はどのチームと試合をしましたか?」
- 「前回の試合は勝ちましたか?」
脳震盪の症状 | |||
身体 | 認知機能 | 感情/情緒 | 睡眠 |
めまい・平衡障害
頭痛 吐き気・嘔吐 音声過敏 羞明 視覚障害 |
記憶消失
混乱・見当識障害 眠気 意識喪失 精神的な「もやもや」 集中力の低下 運動・言語反応の遅延 不明瞭な発語 凝視 |
不安
疲労感 過敏性 不安定性 悲しみ |
睡眠の減少
睡眠の増加 入眠障害 |
【対応】
脳震盪の疑いのある選手は、直ちに競技をやめさせなければいけません。
医師に見てもらうまでは運動に復帰させてはいけません。
また、ひとりきりにすることもいけません。
勿論、運転もダメです。
【警告】
以下の症状がある場合は救急車を呼ぶことも考慮してください。
- 首の痛みを訴えている
- 意識状態が低下している
- 混乱や興奮状態がひどくなっている
- 頭痛が強い、ひどくなっている
- 嘔吐を繰り返している
- 異常な行動変化
- ひきつけやけいれん
- 複視(ものが二重に見える)
- 手足の脱力、じんじん感、灼熱感
【段階的復帰プロトコール】
脳震盪を起こした選手をすぐに競技に復帰させてはいけません。段階的復帰プロトコール準じて徐々に復帰させます。
アスリートが身体的および認知的な活動レベルを上げる前に、無症状の状態を維持するための段階的なアプローチのことです。
選手は次の段階に進むためには投薬なしで描くレベルで24時間無症状でなくてはなりません。
6段階ありそれぞれ24時間ごとに評価をしますので、競技への復帰は最低でも約1週間かかります。
【セカンドインパクト症候群】
なぜ段階的復帰プロトコールが必要かというと、このセカンドインパクト症候群があるからです。
脳震盪から回復中の人が、2回目の脳震盪を起こした際に起こりうる脳血管のうっ血が浮腫の増加をきたすことを言い、外傷性の反応が元々の外傷よりも早く起き、死に至ることもあります。
ほとんどの症例で急性硬膜下血腫を生じます。