提携駐車場あり 19:00まで診断

診療案内 ギラン・バレー症候群

【ギラン・バレー症候群とは】

急性に起こる単相性の運動・感覚障害を呈する免疫が関与する末梢神経の疾患です。
つまり、脳の病気ではなく、多発性硬化症のように良くなったり悪くなったりしないと言うことです。
ポイントは左右対称性の上向性弛緩性麻痺(足の方から麻痺が来てだんだん麻痺が上の方に上がってくる)、単相性の経過です。

障害の部位により下記の3つの方に分類されています。

  1. 髄鞘障害(脱髄型):急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(acute inflammatory demyelinating polyneuropathy: AIDP)
  2. 軸索障害(軸索型):急性運動性軸索型ニューロパチー(acute motor axonal neuropathy: AMAN)
  3. 軸索型で感覚障害を伴う場合:急性運動感覚性 軸索型ニューロパチー: acute motor and sensory axonal neuropathy: AMSAN)

 

【原因】

10%くらいに先行感染の病原体が同定されます。一番有名なのがカンピロバクター腸炎、その他にもEBウイルス感染症、サイトメガル感染症、マイコプラズマ感染症、インフルエンザ桿菌感染症があります。これらの感染症に対する抗体が間違って自分の軸索を攻撃することによって起こるとされています(抗糖脂質抗体)。

 

【頻度】

小児では成人より発症頻度は低く、1/10万人程度と報告されています。発症年齢は小児では5〜6歳にピークがあります。
 
 

【症状】

下肢から上向性に弛緩性麻痺(だらっとした麻痺)を特徴として、ひどいと呼吸筋の麻痺が起こり、呼吸ができなくなります。
その際は人工呼吸器が必要となります。通常は歩行障害訴えて受診することが多いです。その際でも意識は正常です。
脳神経麻痺も起こることがあり、顔面神経麻痺、球麻痺(延髄にある脳神経核が障害され、口・舌・喉の運動障害によって起こる症状です。延髄を外側から見るとボールのように丸い形をしているので “球”と呼ばれます。)、眼球運動の障害などがあります。構音障害(呂律が回らない)、嚥下障害(食べ物、飲み物の飲み込みが悪くなる)、呼吸や循環の障害が生じる。
眼球運動の障害などがあります。
自律神経の障害として重要なのは不整脈です。時として死に至ります。
症状は4週間くらいまで進行し、その後ゆっくり回復していきます。

 

【検査・診断】

髄液検査で細胞数の上昇を伴わない蛋白値の上昇(蛋白細胞解離:髄膜炎ではないということ)があります。
一部の患者さんでは抗糖脂質抗体(抗ガングリオシド抗体)が検出されます。
脊髄のMRIでは馬尾の造影効果が認められます。
また、電気生理学的な検査も行われることがあり、末梢神経伝導検査では運動神経伝達速度の低下等が認められます。
診察上、腱反射の消失(末梢神経障害の特徴)が認められます。

 

【治療】

γ-グロブリンの点滴投与、血漿交換等が行われることが多いです。

 

【予後】

通常は自然に軽快しますが、一部の患者さん(23%)では後遺症として筋力の低下が報告されています。

 

【類縁疾患・鑑別疾患】

Fisher(Miller-Fisher)症候群

上気道炎感染後に起こることが多く、急性発症の外眼筋麻痺(物が二重に見えたり、まぶしくなったり、まぶたが下がったりします)、運動失調(ふらついたり,ろれつが回らなくなったり、姿勢を維持することが難しくなったりします)、腱反射消失が主な症状です。糖脂質に対する自己抗体が生じることによって生じます。髄液の蛋白細胞解離は発症1〜2週後に認めます。
長期予後は良好です。途中からギラン・バレー症候群に進展することもあります。

Bickerstaff(ビッカースタッフ)型脳炎

Fisher症候群と類縁疾患と考えられている脳幹に病変がある自己免疫性脳幹脳炎です。Fisher症候群と同じ自己抗体が検出されることが多いです。発熱、頭痛、嘔吐、全身倦怠感などの前駆症状ののち、進行性の意識障害を呈します。さらに縮瞳、眼球運動制限、四肢麻痺、顔面神経麻痺、球麻痺(前述)など見られます。単相性の経過をとり、一般に予後は良好です。

慢性炎症性脱髄性ニューロパチー(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy: CIDP)

先行感染はありません。経過が進行したり再発をしたりして2か月以上になり、感覚障害を認めます。

横断性脊髄炎

急性発症の両下肢の麻痺の場合に鑑別が必要になります。膀胱・直腸障害(尿が出なくなったり,便秘になったり)、感覚障害が強く出ます。

Wernicke脳症

極端な栄養障害でビタミンB1の欠乏によりギラン・バレー症候群と同じような症状が出ます。

ボツリヌス症

脳神経症状(複視、眼瞼下垂、目の症状など)が先行して進行性の筋力低下をきたします。時に球麻痺や呼吸障害をきたします。1歳未満では蜂蜜の摂取が原因になります。

初診予約はこちら 再診予約はこちら お知らせ
TOP