【フォン・ヴィレブランド病とは】
止血に必要なフォン・ビレブランド因子(vWF)の量、質が生まれつき低下しているため、鼻出血、皮下出血、月経過多などの血が止まりにくくなる遺伝性疾患です。出血しやすくなる遺伝性疾患の中では一番多い疾患です。昔はフォン・ビルブランデ病と呼んでいましたが、正式な発音であるフォン・ビレブランド病に変更されました。

【フォン・ヴィレブランデ因子とは】
フォン・ヴィレブランデ因子(vWF)とは血管が傷ついた際に、血小板をコラーゲンに結合させて一次止血を促進する働きがあります。血管内皮細胞などで産生される糖タンパク質です。また、血液凝固因子VIII因子(血友病Aで欠損する因子)を安定化・保護する役割もあります。
【症状】
下記のタイプによりある程度症状に違いがあります。
タイプ1および2では主に鼻出血、歯茎の出血、切り傷で血が止まりにくい、血尿、抜歯後の止血困難、流産後の異常出血、分娩後の異常出血、性器出血、月経過多などがあります。タイプ3では先ほどの症状に加え、関節出血、筋肉内出血があります。
【診断】
フォン・ビレブランド病は類似した症状を呈する疾患があるため、診断が難しい病気です。血液型がO型の人は他の血液型の人に比べフォン・ビレブランド因子が20~30%低いと言われます。出血傾向のO型の人は診断が難しくなり、複数回の検査が必要です。
【病型分類】
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病型 |
病因 |
マルチマー |
検査所見 |
遺伝 |
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タイプ1 |
vWF量的減少 |
正常 |
vWF:RCo,vWF:Ag<30% vWF:RCo/vWF:Ag>0.7 |
常優 |
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タイプ2 |
vWF質的異常 |
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2A |
重合不全 |
高分子欠損 |
vWF:RCo低下、RIPA 低下 vWF: RCo/vWF:Ag<0.3 |
常優 |
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2B |
血小板GPIb結合亢進 |
高分子欠損 (消耗性低下) |
vWF:RCo低下、RIPA亢進血小板減少 vWF: RCo/vWF:Ag低下(0.3~0.7) |
常優一部常劣 |
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2M |
血小板GPIb結合低下 |
正常 |
vWF:RCo低下、RIPA低下 vWF: RCo/vWF:Ag低下(0.3~0.7) |
常優 |
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2N |
FVIII結合低下 |
正常 |
vWF:R正常~軽度低下 FVIII活性低下(5~20%) |
常優 |
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タイプ3 |
vWF完全欠損 |
全欠損 |
vWF検出不能 |
常劣 |
vWF:Ag:vWFの抗原定量 vWF:RCo:リストセチン・コファクター活性、GP:glycoprotein RIPA:リストセチン惹起血小板凝集能
【検査所見】
血小板数は正常です。臨床検査では血液凝固試験でプロトロンビン時間(PT)は正常ですが、部分トランボプラスチン時間(PTT、APTT)は延長することがあります。重症型や第VIII因子活性が低いと明らかに低下します。
フォン・ビレブランド因子の測定とともに、機能が正常であるかを測定する試験をおこないます(リストセチン惹起血小板凝集能検査(RIPA)。これは抗生剤であるリストセチンを用いて血小板とvWFの結合を誘発させ、血小板の機能を測定する検査です。
【治療・止血製剤の選択】
酢酸デスモプレッシンは、体内に貯蔵されているフォン・ビレブランド因子を血中に放出させ止血します。
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フォン・ビレブランデ病 の病型 |
酢酸デスモプレッシン製剤 (DDAVP)の効果 |
フォン・ビレブランデ因子を含む血液凝固因子VIII製剤の効果 |
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タイプ1 |
通常有効 |
有効 |
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タイプ2A、2M、2N |
症例により有効、または 無効 |
有効 |
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タイプ3 |
無効 |
有効 (インヒビターが発生して止血効果が落ちる場合がある) |
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タイプ2B |
禁忌 |
有効 |
多くの場合は軽症なことが多く自然に止血します。鼻出血、ケガなどは圧迫するだけで対応できます。月経過多、がある場合は産婦人科に相談してください。抜歯や手術では管理が必要です。関節内出血や筋肉内出血では至急主治医に相談してください。頸部の出血や頭蓋内出血では生命に関わる可能性があるので、至急主治医への連絡が必要です。
【飲むのを避けたい薬】
解熱鎮痛剤であるアスピリンやインドメサシンは血小板の機能を低下させるので避けましょう。また、歯周病や虫歯にならないようにしてください
【日頃気をつけること】
上記のこと以外には
- 打撲の際には一般的な対応であるRICE(安静:Rest、冷やす:Icing、圧迫:Compression、挙上:Elevation)をしましょう。
- 旅行時は主治医に相談して診断書を書いてもらい、j前に治療してもらったり、せざいの携帯も可能です。製薬会社が作っているヘモフィリアハンドブックを使うと便利です。
- 出産時
タイプ1では妊娠後期にフォン・ビレブランド因子が増加するので問題なく出産できますが、タイプ2および3では補充療法が必要になることが多いです。










