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診療案内 薬物アレルギーとは

薬物アレルギーとは

薬物によって引き起こされる過敏反応で、薬物が持っている本来の作用とは関係なく、免疫学的機序を介して起こる有害反応のことです。アナフィラキシーはその代表です。しかし、自己申告される薬物アレルギーのほとんどは真のアレルギーではないことがほとんどです。

診断・評価

問診

薬物投与から1時間以内の反応を即時型、1時間以降の反応を非即時型とします。即時型はIgEを介することが多く、非即時型はT細胞を介することが多いです。即時型では蕁麻疹、気管支攣縮、血圧低下などがみられ、非即時型では薬疹、血球減少などが見られます。そのため、数日前まで遡って服用薬物を確認します。

事前検査

皮膚テストは症状がなくなってから1〜2ヶ月経過してから行います。至適濃度に作成した薬物をプリックテストで評価します。

そのほかin vitro試験として薬物によるリンパ球刺激試験である薬物誘発試験(drug induced lymphocyte stimulation test: DLST)を行います。

重症薬疹である薬物性過敏症症候群 (DIHS/DRESS)の鑑別診断として血清TARC(thymus and activation-regulated chemokine)が皮疹の活動性と相関するため、保険適応となっています。

薬物誘発試験

事前検査が陰性の場合誘発試験を行います。重症薬疹では行なってはいけません。決まった方法はありませんが、十分注意をして行なわなければなりません。

デラベリング

前述した通り、自己申告された薬物アレルギーの多くは真の薬物アレルギーではありません。プリックテストや薬物誘発試験で否定します(デラベリング)。

薬疹

Stevens-Johnson症候群(Stevens-Johnson syndrome: SJS)、中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis: TEN、別名: Lyell症候群(Lyell syndrome)

38℃以上の発熱、全身に水疱びらんを伴う紅斑が体幹優位に拡大し、眼球・眼瞼結膜、口唇、陰部などの粘膜があるところに病変を認めます。水疱、びらんが体表面積の10%未満の場合はSJS、10%以上をTENとします。健常に見える皮膚をこすると簡単にびらんして剥離してきます(Nikolsky現象)。薬物投与後 数時間から3週間程度で発症します。私はTENに罹患した子どもを2回経験しており、1例は亡くなり1例は完全に回復しました。とても大変でした。目の症状があると視力障害などを残してしまうことがあります。

薬物性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)

抗痙攣剤などの限られた薬剤で誘発され、発熱、多発リンパ節腫脹、多臓器障害を伴う重症薬疹です。薬物投与から2〜6週間で発症します。TARCとDIHSの重症度と相関があり鑑別診断にも役立ちます。突発性発疹の原因ウイルスであるHHV-6の再活性化が見られます。本疾患は薬物アレルギーとHHV-6の再活性化が複合した疾患です。まれです。

急性汎発性発疹性膿皮症(acute generalized exanthematous pustulosis: AGEP)

38℃以上の発熱、全身倦怠感、食欲不振に加え小さな無菌性小膿疱を伴うびまん性紅斑、浮腫性紅斑が多発します。薬物投与から数時間〜2週間以内に発症します。まれです。

多形紅斑(exanthema multiforme)

多形浸出性紅斑ともよばれ、四肢の伸側、関節背面を中心に全身に浮腫性の紅斑が多発する病気です。辺縁が少し盛り上がり、中心が少し薄くなるため標的状(target lesion)を呈することが特徴です。薬物アレルギーのみならず単純ヘルペスやマイコプラズマ感染症などに併発することも多いです。比較的よく見られます。

蕁麻疹型薬疹(drug-induced urticaria)

急性蕁麻疹の中で9%が薬剤性とも言われています。かゆみを伴い時間とともに変化していきます。浮腫状の紅斑が全身に認められ地図状とも評されます。薬疹の中では2番目に多い型です。しかし、蕁麻疹の70%以上は原因不明です。

固定薬疹(fixed drug eruption)

同一部位に繰り返し起こる薬疹の特殊型です。薬物服用から30分から8時間程度で境界明瞭な円形の色素斑が見られます。

播種状紅斑丘疹型薬疹(maculopapular drug eruption)

最も多いタイプの薬疹です。微熱や掻痒を伴うことが多く、薬剤服用から4日〜3週間に発症することが多いですが、数日増悪したのち軽快していきます。

治療

大原則は全ての病型において原因と思われる薬剤を中止することです。SJS、TEN以外の病型ではステロイド軟膏の塗布や抗ヒスタミン薬などを使用することもあります。SJS、TENでは粘膜の感染を防ぐためにステロイド軟膏の塗布は用いません。重症薬疹に関しては日本皮膚科学会の診療ガイドラインがあります。

重症型であるSJS、TEN、DIHSに対しては感染がない限りステロイドの全身投与を考慮します。SJS、TENの重症度の予測にはSCORTENやCRISTENというスコアがあり、これらのスコアで重症と判定された時にはステロイドパルス療法が行われます。そのほかにはγグロブリン療法も考慮されますが、これらの重症の薬疹は入院での治療となります。

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