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診療案内 蕁麻疹診療ガイドライン2018のCQ.

【はじめに】

 ガイドラインは公益財団法人日本医療機能評価機構が作成した「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」に準じてエビデンス総体と推奨グレードを設定しています。ちなみにMindsとはmedical information network distribution serviceの略です。

 それによるとガイドラインとは「診療上の重要度の高い医療行為について,エビデンスの SR(Systematic Review)とその総体評価,益と害のバランスなどを考量して,患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」となっています。

 下記のCQとはClinical questionのことです。

 ガイドラインのCQの外来診療に役立つ部分をまとめました。

【CQ1】蕁麻疹にI型アレルギーの検査は必要か

 推奨:詳細な病歴からI型アレルギーが疑われる場合を除き、すべての蕁麻疹にI型アレルギーの検査実施する意義は認められない。また検査を行う場合は臨床的に関与が疑われる抗原の種類を絞り、個々の事例に適した検査の方法と内容を選択することが大切である。

 解説:詳細な問診に基づく病歴からI型アレルギーの関与が疑われる場合は、皮膚テスト(プリックテスト、スクラッチテスト、皮内反応)、血液中の抗原特異的IgE測定、患者末梢血を用いたヒスタミン遊離試験、負荷試験などを行い、各抗原に対する個体の過敏性を知ることが必要である。

【CQ2】急性蕁麻疹に検査は必要か

 推奨:典型的な蕁麻疹以外に身体症状がなく、治療への反応性もよければ検査の必要はない。ただし、発熱などの全身症状を伴い、細菌やウイルスの感染が疑われる場合には、一般的な生化学検査を行なってもよい。

 解説:特に発熱、リンパ節腫脹、アニサキス感染などを伴う蕁麻疹では血算、血清生化学などの一般的な検査により全身の状態を把握することは有用である。ただし、これらの検査所見だけでは必ずしも感染症の合併を意味しないので注意が必要である。

【CQ3】慢性蕁麻疹に検査は必要か

 推奨:慢性蕁麻疹に対してルーチンに行うべき検査はない。ただし、非定型的な症例、難治性な症例などで、背景因子、合併症の存在が疑われる場合はそれらに応じた検査を行ってもよい。

 解説:ここの症例レベルではHCV感染を伴う場合、ピロリ菌陽性患者における除菌治療後、アニサキス感染を伴う場合、あるいは悪性腫瘍合併患者における腫瘍治療後に、蕁麻疹が寛解する例は存在する。しかし、慢性蕁麻疹患者では抗甲状腺抗体(特に抗ミクロソーム抗体)陽性率が高いことが示されているので、抗ヒスタミン薬による標準的な治療により鎮静化する典型的な症例においてはルーチンに行うべき検査はないと考えられる。抗ヒスタミン薬による治療で十分な効果がなく、女性である、自己免疫性疾患が疑われる、あるいは甲状腺疾患の家族歴がある患者における検査項目として、甲状腺自己抗体、甲状腺機能検査を考慮する。

【CQ4】ステロイド外用薬は蕁麻疹の症状出現を抑制するために有効か

 推奨:ストロンゲストのステロイド外用薬を10日間以上塗布すると、その部位では蕁麻疹出現が抑制されることが期待し得るが、副作用の可能性を考慮すると一般的な蕁麻疹の治療法としては推奨されない。

 解説:塗布が必要な範囲、使用期間および副作用のリスクを踏まえると臨床的な有用性は低く、広い範囲に出現する一般的な蕁麻疹の治療法として推奨されない。なお、すでに出現した膨疹に外用することでその消退を早めるというエビデンスはない。

【CQ5】すでに出現した膨疹の痒みに局所の冷却、石炭酸亜鉛華リニメント、抗ヒスタミン薬含有軟膏、クロタミトン軟膏(オイラックス)の外用は症状軽減に役立つか

 推奨:蕁麻疹の痒みを軽減するために、これらの治療は試みてもい。

 解説:これらの薬剤の有効性に関してはレベルの高いエビデンスはないが、特に冷却は古くより経験的にかゆみの軽減に有効であることが知られている。よって、これらの治療法を試みることの意義を否定できない。

【CQ6】小児と成人と同様の治療を行なって良いか

 推奨:基本的には成人のガイドラインに準じて治療を行う。ただし、小児では成人にくらべ各種治療薬のエビデンスが乏しく、特に抗ヒスタミン薬の増量やステロイドの使用については十分その安全性を考慮する必要がある。

 解説:小児では成人に比べて自己炎症症候群、感染症に伴う蕁麻疹、コリン性蕁麻疹などが多く、病型を意識した検査には一定の有用性がある。小児の蕁麻疹に対する薬物治療は第二世代の非鎮静性の抗ヒスタミン薬の至適用量を基本とし、コントロールが難しい症例では、効果と危険性のバランスを考えつつ、慎重に成人の蕁麻疹に対する治療アルゴリズムを適用する。ただし、ステロイドの内服は、副作用のリスクを考え、使用する場合も3〜7日間のみとすることが望ましい。

【CQ7】妊婦に抗ヒスタミン薬を使用して良いか

 推奨:妊婦、特に器官形成期である妊娠初期(受精後19日から妊娠4ヶ月(15週末)頃)には使用しないことが望ましい。ただし、治療状の有益性が危険性を上回ると判断され、かつ十分な説明と同意がなされた場合には投与しても良い。

 解説:抗ヒスタミン薬の使用が妊婦に対して危険であるという明らかな証拠はないが、積極的に安全性を述べるには調査例数の蓄積が不十分である。

【CQ8】授乳婦に抗ヒスタミン薬を使用して良いか

 推奨:体内に吸収された抗ヒスタミン薬は乳汁中にも移行するので、授乳中は使用しないことが望ましい。しかし、経口抗ヒスタミン薬が母乳中に移行する量は非常に少ないと考えられ、使用するか否かはリスクと有用性を踏まえて判断する。

 解説:特に乳児へ直接投与可能な薬剤については健康被害が生じる可能性はほとんどないと考えられる。具体的な抗ヒスタミン薬の選択については、国立成育医療研究センター妊娠と薬情報センターのホームページを参照する。
http: www.ncchd.go.jp_kusuri_index.html

【CQ9】急性蕁麻疹にステロイドは有効か

 推奨:体表30%以上が掻爬せずにおられないほどの強い痒みを伴う膨疹に覆われることがある急性蕁麻疹で、早期に症状を鎮静化する必要がある場合は抗ヒスタミン薬に加えて数日のステロイドの内服または注射を併用しても良い。

 解説:使用するステロイドの量や他の併用薬の内容とともにここの症例の事情に合わせて判断することが肝要である。

【CQ10】急性蕁麻疹に抗生物質は有効か

 推奨:抗ヒスタミン薬のみでは効果不十分な急性蕁麻疹で、特に発熱、咳嗽、リンパ節腫脹、白血球増多、CRP上昇等の感染症状を伴う場合は抗生物質の併用を試みても良い。

 解説:感染は蕁麻疹の悪化因子として知られており、特に急性蕁麻疹では感染症に続いて発症する例が少なくない。また、抗ヒスタミン薬、ステロイドの全身投与に抵抗し、発熱、白血球増多、CRPの上昇などの感染症状を伴う急性蕁麻疹の中にはペニシリン系またはセフェム系の抗生物質の内服が奏功する例もある。咳嗽を伴いマイコプラズマ感染症が疑われる場合は、テトラサイクリンかマクロライド系抗生剤が奏功することがある。ただし、蕁麻疹に伴う感染症の原因としては最近の他、ウイルス、真菌などの可能性もあり、蕁麻疹における白血球増多とCRPの軽度の上昇は必ずしも細菌感染症の合併を意味しない。そのため、具体的な対策内容は症例毎に検討する必要がある。

【CQ11】慢性蕁麻疹に抗ヒスタミン薬の増量は有用か

 推奨:通常量の抗ヒスタミン薬で十分な効果が得られない慢性蕁麻疹に対し、鎮静性の低い抗ヒスタミン薬の増量は試みても良い。

 解説:通常量で効果が不十分な症例に対しては安全性や費用なども考慮し、通常量の2倍までの抗ヒスタミン薬の増量は試みても良い治療法と考えられる。増量が認められていない薬剤もあるので注意が必要である。

【CQ12】慢性蕁麻疹にH2拮抗薬の併用は有効か

 推奨:抗ヒスタミン薬のみでは効果不十分な慢性蕁麻疹に対しては、抗ヒスタミン薬とH2拮抗薬の併用は試みても良い。

 解説:当面は抗ヒスタミン薬単独で効果不十分である場合にはH2拮抗薬の併用は試みても良いと考えられる。

【CQ13】慢性蕁麻疹に抗ロイコトリエン薬の併用は有効か

 推奨:抗ヒスタミン薬のみでは効果不十分な慢性蕁麻疹に対しては、抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン薬の併用は試みても良い。

 解説:抗ロイコトリエン薬単独では慢性蕁麻疹の制御に有用とは言えないが、抗ヒスタミン薬に併用することで抗ヒスタミン薬単独より効果が期待できる可能性があるとされている。抗ヒスタミン薬の効果が不十分な慢性蕁麻疹の中には、抗ロイコトリエン薬が有効な一群は存在すると考えられる。

【CQ14】慢性蕁麻疹にジアフェニルスルフォン(レクチゾール、プロトゲン)の併用は有用か

 推奨:抗ヒスタミン薬のみでは効果不十分な慢性蕁麻疹に対しては、抗ヒスタミン薬とジアフェニルスルフォンの併用は難治例に試みても良い。

 解説:有効であるいう報告はあるが、ジアフェニルスルフォンの内服中は発熱、紅斑、落屑、貧血、肝機能障害などを来たす、いわゆるDDS(薬剤性過敏症候群)を生じることがあるので、十分な観察と定期的な血液検査を行う。

【CQ15】慢性蕁麻疹にグリチルリチン製剤(グリチロン配合剤、ニチファーゲン配合剤、ネオファーゲン配合剤など)の併用は有用か

 推奨:抗ヒスタミン薬のみでは効果不十分な慢性蕁麻疹に対しては、抗ヒスタミン薬とグリチルリチン製剤の併用は試みても良い。

 解説:抗ヒスタミン薬で効果不十分な慢性蕁麻疹に対し、グリチルリチン製剤の併用を試みても良いと考えられる。

【CQ16】慢性蕁麻疹にワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン)の併用は有用か

 推奨:抗ヒスタミン薬のみでは効果不十分な慢性蕁麻疹に対しては、抗ヒスタミン薬とワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(注射)の併用は難治例に限り試みても良い。

 解説:併用療法により70〜100%の改善効果があったという弱いエビデンスがある。

【CQ17】慢性蕁麻疹にトラネキサム酸の併用は有用か

 推奨:抗ヒスタミン薬のみでは効果不十分な慢性蕁麻疹に対しては、抗ヒスタミン薬とトラネキサム酸の併用は難治例に限り試みても良い。

 解説:現段階では費用で有効性を支持する根拠はないが、効果を否定する積極的なエビデンスはなく、副作用のリスクが低いことなども勘案して、難治例に限り使用しても良い。

【CQ18】慢性蕁麻疹に漢方薬の併用は有用か

 推奨:抗ヒスタミン薬のみでは効果不十分な慢性蕁麻疹に対しては、抗ヒスタミン薬と漢方薬の併用は他に適当な治療法のない難治例に限り試みても良い。

 解説:個々の症例の証を踏まえた薬種の選択がなされる場合を除き、慢性蕁麻疹に一律に漢方薬を併用することは推奨しない。しかし、明確な有害性を示す、または積極的に効果を否定するエビデンスもないことから、他に方法がない難治令に限り試してみることも否定しない。

【CQ19】慢性蕁麻疹に抗不安薬の併用は有用か

 推奨:抗ヒスタミン薬のみでは効果不十分で、心理テストで高得点をしめす慢性蕁麻疹には、抗ヒスタミン薬および抗不安薬の併用を試みても良い。

 解説:抗不安薬投与群のうち、特に心理テスト高得点であった患者で有意な症状の改善があったことが報告されている。

【CQ20】慢性蕁麻疹の皮疹が抑制できればステロイド内服を続け て良いか

 推奨:慢性蕁麻疹でステロイドを内服する場合はできるだけ短期間にとどめ、必ずしも皮疹が完全に消失していなくても適宜減量、中止することが望ましい。

 解説:重症かつ難治例で抗ヒスタミン薬にプレドニゾロン換算で15mg/日までのステロイド内服を併用することでようやく皮疹を抑制できる場合もある。しかしながら長期予後に対しての治療効果に関するエビデンスはない。使用するにしても1〜3週間を目安に使用しても良いが、1ヶ月以上減量または中止の目処が立たない場合は他の治療への変更を検討する。特に小児では成長障害をきたす可能性もあり、長期的な投与は行うべきではない。

【CQ21】慢性蕁麻疹にシクロスポリンは有効か

 推奨:抗ヒスタミン薬、補助的治療薬による治療を行なってもなおQOLの障害が強い、あるいは副作用などの理由で他の方法による症状の抑制が必要な場合は、シクロスポリンによる治療を行なっても良い。

 解説:慢性蕁麻疹の一部の症例はIgE受容体、あるいはIgEに対する自己抗体を有し、その病態に自己炎症機序が関与する。自己血清皮内テスト陽性蕁麻疹患者ではシクロスポリンの有効性が示されている。副作用として血清クレアチニン上昇や高血圧が記載され、消化器症状、知覚異常も副作用としてあげられている。以上により、シクロスポリンは、免疫抑制作用、腎機能障害、高血圧などに注意し、抗ヒスタミン薬を中心とした治療に抵抗性で、特にその適応にあたり問題のない重症例では検討しても良い治療法と言える。

【CQ22】慢性蕁麻疹にシクロスポリン以外の免疫学的治療は有効か

 推奨:重症難治性蕁麻疹に対し、シクロスポリン以外に免疫グロブリン静注、血漿交換、メトトレキセート、シクロフォスファミド、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチルなどの免疫学的治療が奏功する可能性があるが、いずれもエビデンスレベルが低く、現時点ではQOL障害の大きい難治例に対する試行的治療に位置付けられる。

 解説:多くの例は自己血清非ないテスト(ASST)陽性例に対して有効例を報告しているが、エビデンスレベルの高い報告はない。

【CQ23】特発性の蕁麻疹の症状消失後は一定期間抗ヒスタミン薬の内服を続ける方が良いか

 推奨:特発性の蕁麻疹では、薬物治療により症状が消失あるいは軽快した後もしばらく抗ヒスタミン薬の内服を続ける方が良い。

 解説:急性蕁麻疹では数日から1週間程度、発症後2ヶ月以内の慢性蕁麻疹では1ヶ月、発症後2ヶ月以上経過した慢性蕁麻疹では2ヶ月を暫定的な目安として推奨する。

【CQ24】アスピリン蕁麻疹患者の解熱・鎮痛にはCOX阻害作用がない、または小さい薬剤が安全か

 推奨:アスピリン蕁麻疹患者の解熱・鎮痛にはCOX阻害作用がない、または小さい薬剤がより安全性が高い。ただし、頻度は低いがこれらの薬剤も症状を誘発する可能性があるので、使用に際しては蕁麻疹出現の可能性に注意することが必要である。

 解説:近年報告された文献の多くはCOX2選択的阻害薬、いわゆる「coxib」を評価するもので、いずれも高い安全性が確認されている。日本ではセレコキシブ(セレコックス)のみである。本邦で承認されている非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)では、セレコキシブ(セレコックス)、メロキシカム(メロキシカム、モービック)、エトドラク(エトドラク、オステラック、ハイペン)でCOX1選択制が高く、塩基性の塩酸チアラミド(ソランタール)にはCOX阻害作用がない。これまでの研究から、COX1阻害活性の引く薬剤の方が安全であることが示唆されているが、いずれの薬剤においても少数ながら陽性者が存在するので、アスピリン蕁麻疹が疑われる患者に投与する際は常に症状が誘発される危険性に注意が必要である。

【CQ25】機械蕁麻疹に抗ヒスタミン薬の変更は有効か

 推奨:機械蕁麻疹に対していずれか1剤の抗ヒスタミン薬の効果不十分な場合は他の抗ヒスタミン薬に変更しても良い。

 解説:抗ヒスタミン薬の効果は個人差があり、いずれの1剤にて効果不十分な場合は他の抗ヒスタミン薬へ変更しても良いが、高いレベルのエビデンスはない。

【CQ26】寒冷蕁麻疹に抗ヒスタミン薬は有効か

 推奨: 寒冷蕁麻疹に対し、抗ヒスタミン薬の内服は効果を期待し得る。また、いずれか1剤で効果不十分な場合は他の抗ヒスタミン薬に変更または増量しても良い。

 解説:寒冷蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬の抑制効果については、膨疹、紅斑、かゆみを有意に抑制するというレベルの高いエビデンスがある。なお抗ヒスタミン薬の効果には個人差があるため、いずれかの1剤にて効果不十分な場合は他の抗ヒスタミン薬に変更して良い。また、デスロラタジンについては、通常量の4倍まで用量依存的な効果があることを示した報告がある(デスロラタジンは日本では保険適応での増量はできないと思います)。

【CQ27】寒冷蕁麻疹に耐性は誘導できるか

 推奨:寒冷蕁麻疹に対する水浴による耐性誘導は、蕁麻疹およびアナフィラキシーの治療に精通した医師の指導課で行われても良い。

 解説:レベルの低いエビデンスはある。経過中に症状を誘発する可能性があるので注意が必要である。

【CQ28】日光蕁麻疹に抗ヒスタミン薬は有効か

 推奨:日光蕁麻疹に対し、抗ヒスタミン薬の内服は効果を期待し得る。

 解説:複数のレベルの低いエビデンスがある。なお、通常量の単剤の抗ヒスタミン薬の効果は低く、抗ヒスタミン薬の増量や組み合わせが必要とする複数の報告がある。

【CQ29】日光蕁麻疹に免疫学的治療は有効か

 推奨:日光蕁麻疹に対して高用量免疫グロブリン、シクロスポリン、血漿交換、抗IgE抗体(オマリズマブ:ゾレア)などの免疫学的治療法は有効性を期待し得るが、費用、安全性を考慮すると、難治例に対する例外的治療として位置付けられる。

 解説:これらの治療法はいずれも身体的、または経済的な負担が大きく、現時点ではあくまで難治例に対する試行的治療として位置づけられる。

【CQ30】コリン性蕁麻疹に抗ヒスタミン薬は有効か

 推奨:コリン性蕁麻疹に対し、抗ヒスタミンの内服は効果を期待し得る。

 解説:複数の二重盲検ランダム化クロスオーバー試験により、有効性が確認されている。

【CQ31】コリン性蕁麻疹患者に積極的に汗を書かせることは蕁麻疹の症状を改善させるか

 推奨:発汗が低下しているコリン性蕁麻疹では、積極的に汗をかくようにすることは試みても良い。

 解説:温浴療法が有効であったとする症例報告があるが、現時点ではエビデンスレベルは低い。発汗低下を伴う例には試みても良い。

【CQ32】特発性の血管浮腫に抗ヒスタミン薬の内服は有効か?

 推奨:特発性の血管性浮腫に対して、抗ヒスタミン薬の内服は効果を期待し得る。

 解説:エビデンスは低いもののその世の有効性を示唆する結果がある。よって、慢性特発性蕁麻疹に合併した血管性浮腫や、蕁麻疹を伴わない場合でも明らかな原因がない特発性血管性浮腫においては、抗ヒスタミン薬は試みて良いと考えられる。

【CQ33】特発性の血管性浮腫にトラネキサム酸は有効か

 推奨:特発性の血管性浮腫に対して、トラネキサム酸の内服は効果を期待し得る。

 解説:C1-INH不全を伴わない血管性浮腫に対する効果は、いずれもエビデンスレベルは低いが、有効と判定されている。

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