「ゆっくり話そう」「落ち着いて」は逆効果!
【吃音とは】
最初の音や音節を繰り返したり、子音を伸ばしたりしてスムーズに言葉を発することができない状態です、いわゆる「どもり」です。医学用語では小児期発症流暢障害、英語ではstutteringと言います。
「繰り返し」「引き延ばし」「出にくさ」の3つがあります。
- 「あ、あ、あ、あ、ありがとう」同じ音を繰り返す「連発」。言葉を繰り返すタイミングが早すぎて、最初の音でつかえてしまうタイプです。
- 「あ—- りがとう」と言うような最初の音を引き延ばす「伸発」。言葉の最初の音から次の音にうつるまでのタイミングが遅く、最初の音が引き延ばされるタイプです。
- 「——–ありがとう」と言う「難発」。タイミングがとれずに言葉が出てこなかったり、一所懸命タイミングを合わせようと、のどに力が入り、最初の音だけ大きくなったりするタイプです。
【原因】
原因の7割は体質、つまり生まれもったものです。決して育て方のせいではありません!
ですからお母様方が罪悪感を持つ必要はないのです。
最近の研究では吃音のある子は、他の子どもと比べて言語発達が良い傾向があると言われています。
言葉を沢山知っており、文章を考えたり、読んだり,書いたりする能力も高いそうです。
頭の中で一気に増えていく言葉に、口がついてこれないため吃音が出てくるのです。
【頻度】
正確な頻度はわかっていませんが2〜4歳では約5%で認め、治る子も多いです。
半数以上は小学生になるまでに治ります。しかし、小学校高学年、中学校、高校、時には社会人になってから発症する方もいます。
男の子の方が女の子に比べ3〜5倍多いという報告もあります。成人の1%は吃音があると言われています。
男の子は3年で6割、女の子は3年で8割の子が治ります。
吃音が続く可能性が高いのは
- 女児よりも男児
- 家族に吃音のある人がいるとき
- 発症から3年以上たっても吃音が残っているとき
と言われています。
【対応①】
やってはいけないこと!
- 「ゆっくり話してごらん」「落ち着いて」などのアドバイス
- 先に子どもが言いたいことを言ってしまう
- 「もう一度言ってごらん」と言い直させること
これらは子どもの「話したい」「伝えたい」気持ちを削いでしまいます。
望ましい対応
- 話し方に注目しないで、話の内容をしっかり聞く。会話を楽しむ。
- 心配しそうに聞くのではなく,ゆったりと聞く。
- どうしても言葉がでない時には、子どもが話そうと思ったことを推測し「〇〇なのね」と返してあげる。
- 吃音症状だけに注目しないで、得意なことに視点を向けることや活躍できる場を設定し、認める。褒める場面を作り、自己肯定感が相良異様にする。
- 周囲の子どもへの対応を丁寧にする。
「人それぞれ個性があって、話し方のそれぞれだよね」と言うことを年齢に応じて話す。
「〇〇ちゃんは何であんな言い方をするの?」と言ったときには、
「そんにことを言ってはダメ」と言うのではなく、吃音ついて丁寧に説明する。 - からかいに対しては、きちんとした対応をとる。
子どもの話を最後までゆっくり聞いてあげて「そうなんだね」などと言ってあげるといいでしょう。
また、5歳で約8割の子は吃音を自覚します。これをごまかそうとして「お母さんは気にならないよ」などと言うこともよくありません。何故そう思うようになったかを聞いてみて下さい。友達に指摘されたのか?からかわれたのか?自分で話しにくいと感じるのか?など聞いてみて下さい。
友達に指摘され真似されたり、からかわれたりしている場合はお母様が学校に言って早い段階でからかうことをやめさせるようにして下さい。
自分で話しづらいと思うときは「あなたは悪くない」「そのままでいいんだよ」と正しく説明してあげて下さい。
それでも心配なときは地域の発達相談窓口などに相談して下さい。目標は吃音をなくすことではなく,治らなくても困らないようにしてあげることです。
【対応②】
吃音は発達障害者支援法の対象になります。つまり、学校などで特別配慮を受けることができます。「ことばの教室」などの通級に通うこともできます。
先生に理解してもらい、音読の際は2人以上で行ってもらったりするのもよいとされています。
発表・自己紹介などは事前の練習が有効です。その際には吃音のことを改めてみんなに伝えることにより聞き方の姿勢が変わります
【薬物治療】
いやな思いがつのり、悩みが抱えきれないほど大きくなってしまっているのであれば医療機関を受診して下さい。
対人面での恐怖感が強く、社会不安障害と診断されるなら薬物療法も考えられます。