MRワクチンとは
麻疹(はしか)と風疹(三日ばしか)のそれぞれのウイルスを弱毒化した混合の生ワクチンです。
麻疹ウイルスが咳やくしゃみで人から人へ感染しておこります。
高熱、咳、鼻水などの風邪の症状で始まり、いったん熱が下がった後、再び高熱となり全身に発疹が出現します。
はしかは大変重い病気で、合併症も多く肺炎や脳炎で亡くなったり、後遺症を残すこともあります。また、麻疹にかかった後数年かけて発症し痙攣や知能障害が進行する亜急性硬化性全脳炎を起こすこともあります。
発熱、赤い発疹、首のリンパ節のはれの3症状が特徴の病気です。熱がでていないことも多く、風邪に似た症状で、普通は3日程度で治ります。
重症になると脳炎や血小板減少性紫斑病になることもあります。
妊婦さんにうつると胎児に奇形を生ずることがあります(先天性風疹症候群)。
スケジュール
MR(麻疹・風疹混合生ワクチン)は1歳の時に1期を1回接種し、年長さんのとき(4月から小学校に入る前の3月まで)2期を1回接種して完了です。
日本小児科学会や日本小児科医会では1歳のお誕生日のプレゼントとしてMRの1期の接種を勧めています。
1歳になったらできるだけ早く接種をしてください。
年長さんで2期を接種する理由は、生ワクチンを1回接種しても、免疫がつかない子どもが数パーセントいること、また、免疫がついても時間とともにその免疫が落ちてしまう子どもがいるからです。
特に麻疹は重篤な病気です。WHO(世界保健機構)でも根絶を目指していますので、集団での接種率を95%以上に上げることが必要です。
0歳児への接種と緊急接種
保育所などに入所する場合、6ヶ月をすぎていれば麻疹単独の接種(任意接種)をお勧めいたします。その際、1歳を過ぎてのMRの定期接種は1期、2期ともに通常通り行い、麻疹は計3回接種となります(ただし、麻疹ワクチン接種から4週間が経過していないとうてません)。
麻疹のワクチンを接種していない子どもが麻疹の患者さんと接触、あるいは接触した可能性がある場合、ほぼ100%麻疹を発症します。特に1歳未満で麻疹にかかると死亡を含む重症化の率が高いと言われています。
しかし、麻疹患者と接触後3日以内であれば、緊急ワクチン接種により発症を予防できる可能性があります。
この場合、生後6ヶ月以上であれば麻疹単独のワクチン接種が可能です。この場合も1歳を過ぎてのMRの定期接種は1期、2期ともに通常通り行い、麻疹は計3回接種となります(ただし、麻疹ワクチン接種から4週間が経過していないとうてません)。
副反応
麻疹ワクチンの副反応としては、接種後5日から10日くらいに発熱することがあります。
また、このとき発疹を伴うこともあります。これは軽い麻疹になったと思って頂いて結構です。他人に麻疹をうつす心配はありません。
通常は元気も良く、1日から長くとも2日で解熱します。元気がなくなったり、熱が3日以上続く時は、違う病気が考えられますので必ず受診してください。
風疹ワクチンの副作用としては発熱、発疹、リンパ節腫脹、関節痛などが認められることがあります。
まれな副反応としてはショック、アナフィラキシー症状、急性血小板減少性紫斑病(100万人接種あたり1人程度)、脳炎(100万人接種あたり1人以下)が見られることあると言われていますが、これらは麻疹、風疹それぞれの単独接種の際にみられたもので、MRワクチンではいまだ報告されていません。