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診療案内 重症筋無力症

概要

運動神経からの命令が骨格筋に伝わる部位である神経接合部位におけるシナプス後膜上のいくつかの標的抗原に対する自己免疫により運動神経終末からの刺激伝達が障害されて起こる自己免疫疾患です。

重症筋無力症にはガイドラインがあります。

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/mg_04.pdf

原因

病院性が認められている自己抗体には、ニコチン性アセチルコリン受容体(AchR)抗体と筋特異的受容体型チロジンキナーゼ(MuSK)抗体、LDL受容体関連タンパク4(Lrp4)が知られています。

90%以上はAchRを標的抗原として① Achと受容体の結合阻害、② 受容体破壊、③ 補体を介した筋破壊が機序として考えられています。

小児ではMuSK抗体、Lrp4抗体は少ないです。一般的には家族歴はなく遺伝性もありません。
HLAのDR9/13、DQ6/9との関連が報告されています。

疫学・好発年齢

小児期発症は5歳未満にピークがあり、日本を含めた東南アジアに頻度が高いと言われています。

女性が多く約70%を占めます。
特に3歳以下に性差は著名です。

症状・病型

小児では眼筋型が多いことが知られています。

どの病型にも共通しているのは運動の繰り返しにより悪化し、休息することにより改善することです。易疲労性、日内変動がキーワードとなります。
小児では上気道炎などの感染後に発症、悪化することが特徴です。

眼筋型

眼瞼下垂はほぼ必発で、日内変動も明らかです。
その後眼位異常、眼球運動障害が現れてきます。

初めは片方のみのことが多く、まれに両眼同時に出現することがあります。
その場合は全身型(あるいは潜在性全身型)の部分症状を疑います。

潜在性全身型

臨床的には眼筋型との区別は難しく、誘発電位検索で全身筋にも罹患している場合をいいます。

全身型

全身の骨格筋の症状が現れるため易疲労性が出現します。
階段を登っている途中、歯磨きの途中で休んでしまうなどで気がつかれます。

幼児では「家でゴロゴロしていることが多くなった」などの訴えでいらっしゃる方もいます。

顔面筋、頸筋、四肢近位筋に症状が出現しやすいですが、軟口蓋、咽喉頭筋、舌筋などが障害されると、嚥下困難、構音障害、咀嚼障害、喀痰排出障害、呼吸障害、水分摂取時のむせ、よだれの増加、声の掠れ、発生が小さいなどの球症状が見られることもあります。

乳児では哺乳力低下、低級の弱さなどで気づかれることもあります。

検査・診断

塩酸エドロホニウム(テンシロン)試験

抗ChE(コリンエスタラーゼ:アセチルコリンを分解する酵素)を静脈注射することによりAchの濃度が上がり、眼症状などが改善します。

5分ほどで効果は無くなります。
学生でも知っている代表的な検査です。

誘発筋電図

低頻度刺激時の振幅減衰減少が見られます。
小児では検出率が低いです。

AchR(アセチルコリン受容体)抗体

小児、特に眼筋型では検出率が低いです。
10歳未満では陽性率はハボ半分です。
その他にMuSK抗体、Lrp4抗体がありますが、小児では検出率は低いです。

アイスパック試験

冷凍したアイスパックを3〜5分上眼瞼に押し当てて、眼瞼下垂が改善すれば陽性です。

原則成人の診断基準に準拠しますが、自己抗体の陽性率が低いため詳細な問診と上記検査を参考にして診断します。

治療

小児ではステロイドへの反応がよく、適切な治療で寛解状態になることが多いです。

眼筋型

抗ChE薬が第一選択薬ですが、症状が改善しない場合はステロ度を使用します。

潜在性全身型

抗ChE薬への反応が悪いことが多いため、全身型に準じてステロイドから開始しても良いとされています。

それでも反応が悪い場合は免疫抑制剤を使用します。

全身型

ステロイドが第一選択薬ですが、初期増悪を考慮して入院して治療することが望ましいとされています。
効果が悪ければ免疫抑制薬を使用します。

その他の治療

γグロブリン療法、血液浄化療法、胸腺除去術などがあります。

使用禁忌薬

ジアゼパム、ミダゾラム、パンクロニウムなどが挙げられます。

鑑別診断

最も鑑別しなければならないのは遺伝的疾患による先天性筋無力症です。
その他にも変動性、非変動性眼瞼下垂、眼位異常をきたす疾患(眼筋神経異常)、ミトコンドリア脳筋症、眼筋麻痺性片頭痛、先天性眼瞼下垂などがあります。

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