食物依存性運動誘発性アナフィラキシー
(Food dependent excise-induced anaphylaxis; FDEIA)
【食物依存性運動誘発性アナフィラキシーとは・定義】
特定の食物摂取後に運動することによりアナフィラキシーが誘発される病気です。
特定の食物を食べただけではアナフィラキシーは起こりませんし、運動だけでも起こりません。
【頻度】
クラブ活動が始まるせいか中学生から頻度は上昇します。中学生での頻度は約6,000人に1人といわれています。
初回発症年齢のピークは10〜20歳代です。
【症状と重症度】
症状と重症度はアナフィラキシーを参考にして下さい。
皮膚症状は前例に認められます。呼吸症状は70%、ショック症状は約50%に認めます。
食後から運動開始までは2時間以内、特に1時間以内が多いです。
運動としては球技やランニングなど運動負荷の大きい種目が多いですが、散歩や入浴中に発症した例もあります。
【原因】
原因食物は小麦と甲殻類が多いです。細菌は果物や野菜も報告されています。
その他発症に影響する誘因を表に示します。
全身状態 | 疲労、寝不足、感冒 |
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自律神経 | ストレス |
女性ホルモン | 月経前状態 |
気象条件 | 高温、寒冷、湿度 |
薬剤 | NSAIDs(アスピリンなど) |
その他 | アルコール摂取、入浴、花粉飛散時期 |
【検査】
血液研で白血球とその分画(好酸球数など)、総IgE値、食物を中心とした特異的IgE抗体、皮膚テスト(prick-to-prick test)を行います。陽性率は特異的IgE抗体が約80%、皮膚テストが約90%といわれていますが、小児では陰性例も多いとされています。
ゴールドスタンダードは誘発試験です。疑われる食物を摂取させてから運動負荷を変えます。アナフィラキシーの危険があるため、多数の医師がいる大きな病院で行うことが望ましいでしょう。
【予防】
運動2時間前は原因食物を取らないようにします。食べてしまったときには運動を禁止します。
その他、解熱鎮痛剤内服に注意する、エピペンを常備することも必要です。
アナフィラキシーを生じた場合にはその対応をします。