【はじめに】
読字障害は字を読むことが困難な障害で、治療可能な発達障害です。
学習障害(LD)の一つとされ、日本では「読み書き困難症」などと呼ばれることがあります。
国立成育医療研究センター心の診療部の小枝達也先生が日本を代表する読字障害の専門家ですが、予約を取るには何ヶ月も要するのが現実です。
当院では小枝先生の外来にたどりつくまでの架け橋として、読字障害の診断、評価、指導を行っております。
【症状】
- 文字を一つ一つ拾って読んでしまう(逐次読み)。
- 小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」や音を伸ばす「−」などが読めない。
- 単語あるいは文節の途中でくぎってしまう(チャンキングの障害)。
- 読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む。
- 文末などは適当に自分で変えて読んでしまう。
- ページの読み始めに比べると終わりの読みは格段に誤りが増える(読むことに疲れてしまう)。
- 音読より黙読が苦手である。
- 一度、音読して内容がわかると、2回目はスムーズに読める。
などがあります。
読むことが苦手なために書くことにも障害(書字障害)を認めます。
【診察・評価の実際】
読字障害は、知的障害や聴覚障害がなく、家庭環境、教育の機会にも阻害要因が認められないにもかかわらず、読み書きの発達が特異的に障害されている状態です。
そのため、通常の診察の他、知能検査が必要となります。
世田谷区では総合福祉センター(桜ポート)などで知能検査ができます。
当院では月曜日の14時から臨床心理士による知能検査の測定が可能です(要予約)。
以上に問題がなければ下記の検査課題を施行し診断をします。
- 短音連続読み検査
- 単語速読検査
- 単文音読検査
いずれの課題も、音読に要する時間と読み誤りなどのエラーを計測します。
診断が確定したら、小枝先生が開発したアプリを毎日施行して頂き(約5分程度)、1ヶ月に一度程度、上記検査を施行し進展をみます。