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診療案内 ダウン症候群(ダウン症、21-trisomy)

【ダウン症とは】

ヒトの染色体は22対の常染色体と呼ばれるものと1対の性染色体(XとY)の全部で46本の染色体からなっています。

ダウン症では通常2本であるはずの21番目の染色体が3本有ります。一部のダウン症では転座型とモザイク型があります。

英国の医師ダウンが初めて報告したのでこのような名前がつけられています。
21番目の染色体が1本増えることで何故いろいろな症状が出るのかはわかっていません。

【頻度】

国や民族間に関係なく1000人に1人の割合で発症することがわかっています。母親の年齢が35歳以上になると発生率が高くなります。

 

【原因】

約90%は標準型の21-トリソミーです。
転座型には21番目の染色体の一部(約5%)が他の染色体にくっつくタイプです。つまり21番目の染色体の一部だけが3つあると言うことです。

このタイプは2種類あり①Robertson転座は約4%を占め、13〜15,21,22番目の染色体のうち2本の短腕がそれぞれ切断され、断片同士が結合したものと②21q21q転座があります。これは2つの21番染色体の長腕から構成された1本の染色体になります。

モザイク型は21番染色体が3つある細胞と2つある細胞が入り交じって存在するタイプです。約2%を占めますが、標準型より症状が軽くなる傾向があります。

 

【症状】

特徴的な顔貌は世界共通です。
平坦な鼻、内眼角ぜい皮、眼裂斜上、耳介低位、扁平な後頭部、短い首、後頸部の皮膚のたるみ、短く広い手、第5指内弯、単一手掌横線(猿線ともいわれ徳川家康もこれがあったと言われています)、足の親指と第2趾間が離れている等がみられます。

生まれてすぐ気がつくことは体が非常に柔らかいことです。
知能指数は30〜50くらいのことが多いと言われています。

 

【成育状況】

発達は中等度の遅れがあり、歩くことができるようになるには2歳過ぎになることが多いです。

言葉がでるのも遅れ、発音も不明瞭な子が多いです。しかし、ジェスチャーや表情などの言葉を用いないコミュニケーションは良いことが多く、人懐っこい性格と言われています。しかし、多動な子もいれば自閉的な傾向をもつ児もいます。

小学校では特別支援学級が半数以上、次に特別支援学校、また通常学級に入っている子もいます。
中学校でも個別支援学級や特別支援学校があります。
高校になると特別支援学校に行く方が多くなります。
卒業後は家庭生活を基盤に作業所などではたらくヒトが多いです。また、グループホームが整備されつつあるようです。

会社によっては障害のあるヒトを一定割合で雇用しなければいけないという法律があるので雇用機会も広がっています。

しかし環境の変化について行くことができずに怯えたり、引きこもったりする適応障害になってしまうこともあります。

20歳くらいでいきなり動作が緩慢になり、昼夜が逆転し発語も少なくなリ、引きこもってしまう「急激退行」という状態に陥ることもあります。家庭や職場における環境整備、精神的ケアが必要です。

平均寿命は50年前では10歳前後でしたが現在ではほぼ60歳になっています。

 

-年齢別の診療-

1981年に「健康管理ガイドライン」が作成されています。
http://www.aichi-colony.jp/library/pdf/1_02_downsyndorome_aap.pdf

【生直後】

診断はほとんどの場合に生後すぐつけられると思います。生直後の問題としては

  1. 先天性心疾患
    ダウン症児の約半数近くに認められます。循環器科医によるエコー検査が必要です。
  2. 甲状腺疾患
    主に甲状腺機能低下症が20〜40%の頻度で認められます。甲状腺機能の異常はどの年齢でも認めるため定期的血液検査が必要です。
  3. 消化管疾患
    十二指腸狭窄、閉鎖、ヒルシュスプルング病、鎖肛などがあります。早期の手術が必要な場合があります。
  4. 眼科疾患
    先天性の白内障は今後の視力に影響するので注意が必要です。
  5. 耳鼻科疾患
    聴力障害が40〜80%で認められます。

等が問題となります。

 

【1か月〜1歳まで】

  1. 耳鼻科疾患
    定期検診の都度、児の聴力モニタリングを行い、滲出性中耳炎のリスクを検討する。50〜70%において合併します。
  2. 眼科疾患
    6か月までは斜視、眼振、白内障についてチェックします。その後はビジョンスクリーニングなどを用いて検査をします。
  3. 甲状腺疾患
    4〜8か月と12か月に繰り返し検査をします。
  4. 感染症
    すべての児が受けることができるわけではありませんが、RSV感染症予防として抗RSVヒト化モノクロナール抗体製剤(パリビスマス)の接種を受けることができます。

 

【1歳〜5歳まで】

  1. 耳鼻科疾患
    毎年、適切な聴力検査を行います。
  2. 眼科疾患
    毎年、適切に眼疾患がないかどうか評価します。
  3. 整形外科疾患
    3歳〜5歳の間で環軸椎亜脱臼がないかをレントゲンで調べます。首に負担のかかる運動などは控えるようにします。
  4. 甲状腺疾患
    毎年、甲状腺機能を測定します。
  5. 成長発育
    哺乳・栄養状態の評価をしてダウン症候群様の成長曲線を用いて評価をしていきます。
  6. その他
    特別児童扶養手当、療育手帳の申請も可能です。

 

【学童期以降】

  1. 耳鼻科疾患
    年に一度は聴力の検査が必要です。
    いびきや睡眠時無呼吸症候群にも注意が必要です。
  2. 眼科疾患
    必要に応じて眼科の検査をします。
  3. 内分泌疾患
    年に一度は甲状腺の検査が必要です。
    また、尿酸が高くなる子が多いので血液検査をします。
    肥満になりやすく、糖尿病の検査も必要になります。
  4. 皮膚科疾患
    乾燥肌や他の皮膚の問題はダウン症候群の児に多いです。
  5. 歯科疾患
    歯周病になりやすいので注意が必要です。
  6. 急激退行
    1)動作緩慢
    2)乏しい表情
    3)会話・発語の減少
    4)対人関係において反応が乏しい
    5)興味消失
    6)閉じこもり
    7)睡眠障害
    8)食欲不振
    9)体重減少
    等が認められます。20歳前後で陥ることがあります。

 

【受けることができる支援サービス】

以下のサービスは必ず受けることができるとは限りませんが、

  1. 療育手帳(愛の手帳)
  2. 身体障害者手帳
  3. 特別児童扶養手当
  4. 障害児福祉手当
  5. 小児慢性疾患医療助成制度

などがあります。地域の担当部署と相談して下さい。

 

【関連団体】

  1. 公益法人 日本ダウン症協会
    https://www.jdss.or.jp/
  2. 日本ダウン症療育研究会
    http://plaza.umin.ac.jp/~JSCRD/
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