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診療案内 アトピー性皮膚炎

【アトピー性皮膚炎とは】

日本皮膚科学会によれば「増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因をもつ。」と定義されています。
アトピー素因とは、アレルギー疾患の家族歴・既往歴の存在、またはIgE抗体を産生しやすい素因のことを指しています。

 

【診断基準】

アトピー性皮膚炎には2018年に日本皮膚科学会と日本アレルギー学会が共同で作成した診断基準があります。
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 
このガイドラインでは、乳児は2か月以上、その他では6か月以上の慢性疾患となっています。しかし、世界的にはこのくくりはなく、下記のUKWP(The UK Working Party)の診断基準が使用されています。

 

UKWPの診断基準

大基準(1)と2項目以上の小基準を満たすものをアトピー性皮膚炎と診断する。
1. お子さんは皮膚がかゆい状態である。または、両親から子どもがひっかいたり、こすったりしているという報告がある。
2. ① お子さんはこれまでに肘の内側、膝の裏、足首の前、首回り(9歳以下では頬を含む)のどこかにひふのかゆい状態が出たことがある。
② お子さんは喘息や花粉症の既往がある。または、一等親以内に喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の既往がある。
③ 過去12ヶ月の間に全身の皮膚乾燥の既往がある。
④ 屈曲部の湿疹(3歳以下は頬・前額部・四肢外側を含む)が確認できる。
⑤ 1歳以下で発症している(3歳以下のお子さんにはこの基準を使わない)

UKWPに関しては成育医療研究センター アレルギーセンターのホームページを参照としています。

 

【原因】

皮膚の脂分が減少し、保湿力の低下などにより乾燥しやすくなり、加えて皮膚に接触するアレルゲンがアレルギー反応を誘発し、かゆみや湿疹を生じます。

 

【症状】

かゆみを伴う湿疹が、年齢により独特な分布をします。
乳児では顔を中心に、やがて手足や体に広がります。幼児期から学童期になると皮膚は乾燥し、肘膝の内側の症状が目立ちます。

 

【重症度】

湿疹の広がりにより重症度が決まります。
赤みが乏しく乾燥だけであれば軽微、赤みを伴う湿疹の範囲で軽症から重症となります。

 

【治療】

  1. 原因や悪化の下にあるものを除去し(お掃除、ペットを飼わない、じゅうたんをさけるなど)
  2. スキンケア(保湿、清潔に保つ、日焼けを防ぐ)
  3. 薬物療法(軟膏、時にかゆみ止め、漢方などの内服)が基本です。

 

【薬物療法】

軽微であれば保湿剤のみで治療可能ですが、それ以上であれば皮膚の状態に合わせたステロイド軟膏塗布と保湿剤が基本です。
2歳以上であればタクロリムス軟膏(プロトピック)も使用ですきます。現時点でこれらの軟膏以外では治療できるというエビデンス(証拠)はありません。
軟膏の塗布はフィンガーチップユニットと言って、たっぷり載せるように塗布するのが原則です。

 

【ステロイドについて】

ステロイドを嫌がる方をたまに見かけます。ステロイドで本当に気をつけなければいけないのは飲む薬と注射です。
特に花粉症の時期に用いることのある注射は効果を認めますが、とても危険であるため日本アレルギー学会では安易な使用を禁じています。
ステロイド軟膏を使用して良くならない時のほとんどは、医者の説明が悪いとき、または、ちゃんと説明しても患者さんがその通りにしてくれないときだといわれています。
ステロイドも長期間に使用していれば副作用を生じます。塗る日と塗らない日を定期的に決める「間欠投与」が基本となります。必ず定期的な受診が必要です。

 

【おまけ】

新聞などに「ステロイドを使わなくてアトピー性皮膚炎が治った!」という宣伝が載っていることがあります。アトピービジネスと呼ばれています。
確かになった方もいると思いますが、1000人に1〜2程度ではないでしょうか?もし本当に多くの人に効果があるのであれば製薬会社が黙っているはずがありません。
試してみても良いと思いますが、続けられること、安価であることが条件だと思います。

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