日本小児科学会から「2025/2026シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」が出されました。外来診療において重要な点をまとめて記載します。手指衛生、咳エチケット、マスクの適時仕様等の感染対策の徹底はインフルエンザの予防において重要で、引き続き実施の推奨がされています。
- 一般診療における治療
抗インフルエンザ薬はゆう熱機関の短縮や重症化の予防効果が示されている。
<現時点における外来治療における対応>
- 幼児、基礎疾患がありインフルエンザの重症化リスクが高い患者、呼吸器症状が強い患者には投与が推奨される。
- 発症後48時間以内の使用が原則であるが、重症化のリスクが高く症状が遷延する場合は発症後48時間以上経過しても投与を考慮する。
- 基礎疾患を有さない患者であっても、症状出現から48時間以内にインフルエンザと診断された場合は各医師の事故判断で投与を考慮する。
- 一方で、多く反自然軽快する疾患でもあり、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではない。
| タミフル | ゾフルーザ | リレンザ | イナビル | ラピアクタ | |
| 新生児・乳児(1歳未満) |
推
奨 |
積極的には推奨しない(B型については下記参照) | 推奨しない(吸入困難) | 懸濁液は吸入可能、推奨については下記参照 |
左記4剤の使用が困難な場合な時に考慮する |
| 幼児(1歳から5歳) | 多くの場合は吸入困難 | ||||
| 小児(6歳から11歳) | A型には慎重に投与する。B型には使用することを提案する。 | 吸入可能な場合に限り推奨 | |||
| 小児・思春期(12歳以上) | A・B共に推奨 | 推奨 | |||
| 呼吸器症状が強い・呼吸器士官のある場合 | 重症例についはエビデンスが不足している | 要注意
(重症例についてはエビデンスが不足している) |
|||
タミフルは生後2週間以降の新生児が対象である。体重2500g未満の児、生後2週間未満の新生児は、投与する場合には副作用(下痢。嘔吐など)に注意する。
イナビル懸濁液(当院では使用していない)は吸入時エアゾルが発生するため感染対策には注意する必要がある。
ゾフルーザは12歳未満ではタミフルに対して効果が非劣勢ではありますが、変異株の出現が高く、変異株が出現すると発熱以外の症状が改善するまでに要する時間では約2倍、感染性ウイルス排出時間についても明らかに遷延するとの報告がある。ただし、B型に関しては多剤よる優位である12歳未満の小児に対してもB型に関しては使用を提案する。A型に関しては慎重に判断する。
ノイラミニダーゼ阻害薬(タミフルなど)はウイルスの細胞からの遊離を阻害し、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬(ゾフルーザ)はウイルスのmRNA合成を阻害します。
- 抗インフルエンザ薬による予防投与に関する考え方
やむ無く使用する場合は、原則手押してノイラミニダーゼ阻害薬を使用する。ゾフルーザの使用はノイラミニダーゼ阻害薬耐性株が疑われる状況に限定される。
- ノイラミニダーゼ阻害剤体制を示すインフルエンザウイルスに重症例への対応
省略
- インフルエンザワクチンの推奨
不活化ワクチンと経鼻生ワクチンは同等に推奨する。授乳婦、周囲に免疫不全患者がいる場合は不活化インフルエンザワクチンを推奨する。










