誰もが一度「原画鉄道の夜」を読んだことがあるのではないでしょうか?私の敬愛する宮沢賢治の代表作です。宮沢賢治は比較的裕福な質屋の長男として生まれました。彼が質屋のお使いをすると商売にならなかったそうです。彼は農業や鉱業、宗教などに興味を持ちます。彼の父はそれを認めてあげることにしたのです。もしかしたら甘やかしすぎだったのかもしれません。彼と彼の父の関係は門井慶喜著の「銀河鉄道の父」に描かれており、第158回直木賞を受賞しています。映画化もされており、宮沢賢治を菅田将暉、父親の宮沢政次郎を役所広司が演じています。
小説は「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしているこのぼんやりと白いものがほんとうは何か御承知ですか。」で始まります。勿論天の川のことで、星でできていることをジョバンニも知っていました。宮沢賢治は熱心な仏教徒でしたが、この話は自己犠牲を中心としたキリスト教的な話だと思います。北十字である白鳥座から始まり、タイタニックを彷彿させるような話、蠍の火、最後にサザンクロス(南十字)に到着します。そして親友のカンパネルラはザネリを助けるため川に飛び込み行方不明となってしまいます。
「けれどもほんたうのさいはひは一体何だらう。」これが主題であり、壮大な物語だと思います。
今から40年くらい前に映画「銀河鉄道の夜」を見に行きました。今確認すると、脚本は別役実さん、音楽は細野晴臣さんとそうそうたるスタッフでした。