今から500年くらい前(15世紀)までは、宇宙の中心は地球であり、地球を中心に太陽、月、星が回っていると考えられていました。これが「天動説」です。これは最初に哲学者でもあるアリストテレスが提唱したものでした。アリストテレスはソクラテスの弟子であるプラトンのまた弟子であり、プラトンとともに宇宙の中心は地球であるというギリシャ自然哲学の体系を作り上げたのです。以前、野坂昭如の歌で「そそソクラテスかプラトンか」という歌が思い出されます。3世紀にはアレキサンドリアのギリシャ人学者のアリスタルコスにより地動説が唱えられますが、アリストテレスの世界観を崩すことはできませんでした。ローマ時代の2世紀にはアレキサンドリアの天文学者であるプトレマイオスが天動説に基づいた「アルマゲスト」を書き、天文学の権威として読まれることになりました。プトレマイオスは2世紀にエジプトのアレキサンドリアで活躍した天文学、数学、音楽、地理学などで活躍しました。現在の88星座の中の44星座の命名者でもあります。この考え方は当時のキリスト教の価値観にも整合性があったため15世紀まで正しいと思われていました。およそ1300年もの間、地球が宇宙の中心だと考えられていたのです。