【O脚・X脚とは】
下肢の内反・外反のアライメントは加齢により変化します。標準的には2歳頃まではO脚傾向があり、その後X脚傾向となり、小学校に入る頃に大人と同じアライメントに近づきます。
O脚・X脚を心配になり受診される方のほとんどは生理的なものです。しかし、その一部にくる病やこつ系統疾患、Blount病などがあります。
【生理的なO脚・X脚】
生理的O脚とは
- 年齢相応のO脚変形
- 単純X線で検査で異常を認めない
- 高度な変形の場合はBlount病との鑑別は難しい。
生理的X脚とは
- 年齢相応なX脚変形
- 単純X線検査で異常を認めない
- 全身関節が緩かったり、反張膝、外反扁平足を伴うことが多い
異常なO脚とは
- 内踝(内側のくるぶし)をつけて立たせて膝の間が大人の指で3本以上(6cm)あいているとき
- O脚が2歳以上でも認めるとき
- 片側性であるとき
- その他の骨の以上があるとき
異常なX脚とは
- 膝をつけて立たせたときに下肢の間が大人の指で3本以上(6cm)あいているとき
- 学童期以上でX脚が認められるとき
- 転ぶことが多い、歩き方がおかしいとき
- X脚に左右差があるとき
- その他の骨の異常を認めるとき
などがあげられると思います。
このような時は小児整形外科がある病院(私の近隣では国立成育医療研究センター)への紹介になります。
【異常なO脚・X脚にはどのような病気があるのか】
異常なO脚
代表的なものにBlount病とくる病があります。Blount病に正確な定義はないそうです。高度なO脚を認め2歳以上になっても治らず進行します。レントゲンでも異常を認めます。幼児期のBlount病は通常両側性ですが思春期のBlount病は片側性が多いと言われています。肥満は悪化因子になります。
くる病にはいくつかの種類があります。代表的なものはビタミンD欠乏性くる病です。正常な食生活と少しの日光にあたっていればなることはありません。食物アレルギーが心配で極度の食事制限をしていたり、どこやらのあやしい先生が勧める「2歳までは母乳だけで育てろ!」などを信じ多食生活をしていなければまずなりません。そ例外にも遺伝性のくる病もまれですがいくつかあります。
まれなO脚の原因には骨形系統疾患としての軟骨無形成症、軟骨低形成症、骨幹端異形成症などがあります。
異常なX脚
骨系統疾患、プロテインC・S欠乏症、骨髄炎後後遺症、骨端線損傷後遺症などがあります。ほとんどの場合は骨系統疾患です。
【最近の話題】
最近、生理的O脚の原因が潜在的なビタミンD不足であるという研究が発表されました。O脚の子は積極的に日光に当たったり、サケ・サンマ・イワシ・シラスなどの魚を食べたりしてビタミンDを摂取することが大切かもしれません。