赤ちゃんの歯磨き
近年、3歳以下で乳歯に虫歯(う歯)がある割合は、10%未満と減少傾向にあります。
しかし、9歳での乳歯と永久歯の虫歯の有病率は71.9%と依然として高いのが現状です。
虫歯とは
虫歯とは、化学的にはリン酸カルシウムでできた歯が酸によって溶け出す現象です。
虫歯の原因となるミュータンス菌などは、食べかすなどから糖分などをもらって増殖してプラーク(歯垢)を形成します。
増えた菌が糖分を取り込み様々な酸を作り出し、歯を溶かしていきます。プラークはネバネバしているため、歯ブラシで擦らないと取り除けません。
プラークは1〜2日で口の中のカルシウムやリンと結びつき石灰化し、硬い歯石となって歯の表面にこびりついてしまいます。そのため1日に1回は十分歯を磨くことが大切です。
唾液は酸を中和してくれる働きがあります。寝ている間は唾液量が減るので、寝る前の歯磨きは特に大切となります。
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歯の汚れはツルツルした表面より、
- 奥歯の上の部分のデコボコしているところ
- 歯と歯の間
- 歯と歯茎の境目にたまりやすいので、意識して丁寧に磨くことが必要です。
デンタルフロスを使うことも必要です。
乳歯であっても虫歯が起こると、その下にある永久歯や顎の成長、歯ならびにも影響するので、虫歯を放置してはいけません。
歯が生え始めたら、定期的な歯科健診を受けましょう。
赤ちゃんの歯の磨き方
保護者が膝に仰向けに寝かせ、歯磨きをするのではなく、口の中を観察することから始めて下さい。
また、最初は口の中を触るのではなく、ほっぺたを触ったりして遊びながら、柔らかいガーゼなどで拭う事で十分です。保護者が歯を磨くことをお子さんに見せてあげることも良いでしょう
歯の観察が上手に出来るようになったら、赤ちゃん用の歯ブラシで1〜2回歯に触れる練習をして、練習後褒めてあげましょう。
なれてきたら歯磨きを始めて下さい。子どもの機嫌をとりながら1本5秒くらいで十分です。
離乳完了期までには歯ブラシになれていることが良いと思います。
上唇小帯という上唇につながっているヒダにあたると痛いので、人差し指の腹で押さえながら磨くと痛くありません。
生え始めた歯のまわりの歯肉は強く磨くと出血しやすいので、磨くと言うよりは優しく掃くような感覚で大丈夫です。歯の全体が生えてくればもう痛くありません。
歯磨き指導(2〜5歳)
2歳〜3歳頃に奥歯が生えてきますが、かみ合うにはまだ数ヶ月かかります。
この周囲は食べ物がたまりやすく虫歯になりやすいので注意が必要です。
歯磨き粉は口をすすげるようになったら使用して下さい。フッ素入りの物がいいです。
最初からつけてしまうとよく磨けたどうかがわかりませんので、仕上げに小豆大程度を歯ブラシにつけてみがいて下さい。
子供用の歯ブラシは安全対策がなされている物を使用すること、歯ブラシをくわえたまま歩いたりしないことなどが大切です。
歯磨き指導(6歳から)
永久歯が生えてくるのは6歳頃ですね。小学校に入るか入らないかの頃になると前歯が抜けている子によく出会います。
抜ける前にはグラグラするのでよく磨くことができないことがあります。保護者による手助けが必要になります。前歯の裏側が磨きにくい場所です。歯ブラシのかかと(柄側)を使うようにして下さい。
はえてきたばかりの臼歯は手前の乳歯より高さが低いのでブラシがよくあたりません。横からブラシを入れるのがコツです。
永久歯を強くするにはフッ素が必要です。しかし、たくさん歯磨き粉をつければ良いという物ではありません。歯ブラシの毛先の1/3〜1/2程度で十分です。全体につけるのはつけすぎです。