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診療案内 母乳の飲ませ方、母乳の出が心配のとき

【母乳不足?】

 授乳に関して困っていることのうち、「母乳が足りているかどうかがわからない」という理由が最も多かったです。
適切な支援が施されれば90%以上の母親が母乳のみで巣立てることができると言われています。

「母乳不足感」「母乳摂取不足」「母乳分泌不足」は違います。
お母様が母乳不足を感じていても、体重増加が順調で全身状態が良好であれば真の母乳不足ではありません。

【子どもが母乳を十分に摂取できているサイン】

上記のサインが確認できれば「母乳不足」の可能性は低いです。
母乳栄養児の体重増加ペースは、混合栄養児、ミルク栄養児に比べるとゆっくりなことが多いです。
母乳育児の子の発育曲線があります。
下記のサイトを参考にしてください。

https://jsbr1986.org/wp-content/uploads/2020/06/hatuikukyokusenkaitei2019_20191105.pdf

【母乳摂取不足】

 母乳摂取不足とは十分な母乳が分泌されているにもかかわらず子どもが十分に母乳を飲むことができていない状態です。
母乳育児をスムーズに進めるためには以下の3項目が重要です。

1) 正しい抱き方で授乳する(ポジショニング)
2) 子供の口の中に母親の乳棒がしっかり含まれている
3) 泣いてからの授乳ではおそい

【正しい抱き方(ポジショニング)】

抱き方には横抱き、脇抱き、縦抱き、添い乳いろいろありますが、どの抱き方でも重要なポイント一緒です。

・ 子どもの体全体が母親の方に向き、母親と子どもが密着している。

・ 子どもの体と頭が一直線に支えられて母親の乳房の方を向いている(体と頭が捻じ曲がったりしていない)。

・ 母親の体勢が前かがみにならない。

・ 子どもに乳房を近づけるのではなく、子どもを母親の方に引き寄せて授乳を行う。

【吸啜の仕方(ラッチオン)】

 効果的に吸啜するには、子どもが母親の乳頭だけでなく、乳輪全体を深く口に含むことが重要です。

まず、母親の乳頭と子どもの口の位置が同じ高さになるように抱いてください。

乳頭で子どもの口唇を刺激して子どもが大きく口を開けるのを待ちましょう。大きく口が開いたなら子どもを引き寄せて乳輪全体をくわえ込ますくらい深く含ませてください。

お母様は前かがみになり子どもの口に乳頭をねじ込むと、乳輪まで口に含むことができないので、吸い方が浅くなり効果的に吸啜ができません。

 子どもが泣いているとうまく吸着できないので、できれば抱っこなどで宥めてから吸着を試してください。

 

効果的な吸着ができているサイン

 ・子どもの口が大きく開いている。
 ・口角の角度は130〜160°程度。
 ・下顎が乳房についている。
 ・非対称に吸着している。
  (子どもの口の上側の乳輪が多く見えている)

 

効果的な吸着ができていないサイン

 ・口を大きく開けておらず、おちょぼ口をする。
 ・子どもの唇が内側に巻き込まれている。
 ・子どもの舌が見えない。
 ・頬がピンと張っている。
  またはエクボのようなくぼみがある。
 ・早い吸啜しかしない。
 ・授乳時に舌打ちのような音が聞こえる。
 ・授乳終了後の乳頭が、平らになったりすじができていたりする。
 ・授乳中や授乳後に痛みを感じる。
 ・乳房から母乳が十分飲みとられず、
  乳棒が張りすぎることがある。

【授乳のタイミング】

 「子どもが泣いたら飲ませる」という習慣が浸透していますが、それでは遅すぎます。泣き出す前に授乳することが大切です。
頻繁に授乳(搾乳)して乳房を「カラ」に近づけるようにしていると母乳分泌が増えてきます。あまり感覚をあけず、児が乳房をはなすまで飲ませましょう。

 授乳回数は一定でなく、特に午後から夕方にかけての時間帯は母乳分泌が少なくなるため、よく泣くことがあります。生後2〜3週頃と6週頃、3カ月頃は児の急性期であり一時的に授乳回数が増えることがあります。
 

子どもが母乳を飲みたがっている空腹のサイン

 ・吸うように口を動かす。
 ・吸うときのような音を立てる。
 ・手を口に持っていく。
 ・急速な眼球運動(レム睡眠)。
 ・クーとかハーといった柔らかい声を出す。
 ・むずかる。

【後乳の重要性】

 授乳の後半に出てくる「後乳」は脂肪分が多く、高カロリーで、児の網膜や脳を構成するために必要なDHAなどの長鎖不飽和脂肪酸や脂溶性ビタミン(A、D、E、K)が多く含まれます。5分したら反対側を飲ませるという「切り替え授乳」では、「後乳」まで飲めない可能性があります。
 「後乳」がしっかり飲めるように、児は片方の乳房を時間の制限なしに飲ませ、児が自分から離したら、反対側を飲ませる、授乳を片方の乳房だけで終えた場合には次回は反対側から飲ませるようしてください。

【切り替え授乳による過飲症候群】

 イギリスの小児科医Woolridgeは「切り替え授乳」により、脂肪酸濃度の低い母乳を飲むことで、児に十分な満腹感が持続せず、飲んだ後もぐずる、満足しない、不機嫌、授乳感覚が短い、頻回の下痢のような便が出るなどの「過飲症候群(overfeeding syndrome)」が起こると警鐘を鳴らしています。

【母乳分泌不足】

 医学的な原因による原発的母乳分泌不足と、本来は母乳産生能力が有るにもかかわらず、適切な支援が受けられないために母乳分泌が減少してしまう二次生母乳分泌不全があります。原発性には胎盤遺残による高プロラクチン血症や乳性発育不全などがあります。

 二次生の場合、実際の授乳を観察し、抱き方、含ませ方などの基本的な支援や、積極的な搾乳を行い、それでもダメな時は補足を行います。

補足に第一選択は搾母乳になります。糖水や白湯は用いてはいけません。

補足を行う際には、
 ① 搾母乳 
 ② 母乳バンクの母乳 
 ③ ミルク
という優先順位になるかもしれません。

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