赤ちゃんの耳は目に比べてずっと早く発達します。お母様のお腹の中にいるときでさえ心臓の音や声を聞いています。
生まれるとすぐに産院で「新生児聴覚スクリーニングを希望しますか?」と聞かれます。
先天性の難聴を見つけることが目的ですが、その頻度は1000人に1〜2人とされています。
早く発見して補聴器をつけてあげることによりコミュニケーション能力を高めてあげることができます。
サイトメガロウイルスによる難聴は治療できる可能性もあります。ただし、検査の結果がリファー(要精査)だとしても難聴だと言っているわけではありません。
聴力は
3〜4か月健診の頃には赤ちゃんに話しかけると
- 大きな音に驚く
- 声をかけると泣き止む
- 大きな音で目を覚ます
- あやすと笑う
- 音がする方を向く
- 話しかけると「アー」「ウー」などの声を出す。
6〜7か月健診の頃には
- 音がする方を向く
- 音が出るおもちゃに喜ぶ
- 両親などしっている人の声を聞き分けることができる
- 声を出して笑う
- 「きゃぁきゃぁ」と声を出して喜ぶ
- 人に向かって声を出す
9〜10か月健診の頃には
- 名前を呼ぶと振り向く
- 「いないいないばあ」を喜ぶ
- だめ、こら、などと言うと、手を引っ込めたり、泣いたりする
- 「マ」「パ」「バ」「チャ」「ダダ」などの声を出す
1歳頃には
- 「ねんね」「おいで」「バイバイ」などがわかる
- 大人の言葉をまねようとする
- 意味がある言葉ではないが盛んにおしゃべりをする
- 「ママ」「マンマ」とか意味のある言葉をいくつか言う
1歳6か月健診の頃には
- 絵本を読んでもらいたがる
- 絵本の見てしっているものを指さす
- 簡単な言いつけがわかる
- 意味のある言葉をいくつか言う
- 絵本を見てしっているものの名前を言う
3歳児健診の頃には
- ささやき越で後ろから呼びかけると返事をしたり振り向く
- 耳の近くで指をこすり合わせて小さな音を出すと反応したりする
我々が健診で難聴を見つけるのは1歳6か月健診と3歳児健診です。
1歳6か月健診では以下のことを伺います。
- 見えないところからの呼びかけ、テレビから流れてくるコマーシャルの音楽や番組のテーマ音楽などに振り向きますか?
- 耳の聞こえが悪いと思ったことはありますか?
- お子さんの後ろからささやきごえで名前を呼んだときに不意向きますか?
- 簡単な言葉による言いつけができますか?
- 意味のある言葉を3つ以上言いますか?
- 父母・祖父母・兄弟姉妹に小さい時から聞こえの悪い方はいますか?
- 妊娠中に風疹にかかりましたか?
- 1500g未満で生まれましたか?あるいは5日以上NICUに入院しましたか?
- 仮死で生まれましたか?
- 黄疸が強く交換輸血を受けましたか?
- 耳や口の奇形がありますか?あるいは頭の前髪に白い部分がありますか?
- 髄膜炎にかかったことはありますか?
- 頭部を骨折して入院したことがありますか?
3歳児健診では以下のことを伺い、自宅でささやき声の検査をして頂きます。
- 家族、親戚の方に小さい時から耳の聞こえの悪い方がいますか?
- 中耳炎に何回かかかったことがありますか?
- ふだん鼻つまり、鼻汁を出す、口で息をしている、のどれかがありますか?
- 呼んで返事をしなかったり、聞き返したり、テレビの音を大きくするなど、聞こえの悪いと思うことはありますか?
- 保育所の保母さんなど、お子さんに接する人から、聞こえが悪いと言われたことがありますか?
- 話し言葉について、遅れている,発音がおかしいなど、気になることがありますか?
- お母様の言う言葉の意味が、動作などを加えないと伝わらないことがありますか?
これらの質問のうち④から⑦のいずれか1項目以上に「はい」がある時はささやき声の結果にかかわらず精密検査が必要です。
ささやき声検査では6個のうち4個以下であれば精密件が必要です。