胃食道逆流現象(GER)
生まれたての赤ちゃんの食道は短く、食道の下の方にある食道を引き締めるための筋肉(下部食道括約筋)も短く弱いため、胃にあるものが逆流しやすいです。成長とともに食道も長くなり、下部食道括約筋も機能するようになります。
このような現象を乳児期の胃食道逆流現象(GER)といいます。
GERは生後2〜3週頃から始まり、4〜5カ月でピークになります。
お座りができ、固形物を食べるようになる5カ月くらいから症状は軽くなり、9〜12カ月で症状はなくなります。
生理的なGERの赤ちゃんは機嫌も良く happy spitters と呼ばれます。体重増加に問題がなければ大丈夫です。
胃食道逆流症 (GERD(gastroesophageal reflux disease))
治療が必要になる嘔吐(下記のような症状がある場合や1歳以上でも吐き戻す場合)は、GERでも治療が必要になります。
- 不機嫌、過敏な状態
- 哺乳低下、拒否
- 授乳中に背中をそらせたりする(嚥下時に痛みがあるサイン)
- 体重増加不良
- 喘鳴・咳などの呼吸器症状、顔色不良、窒息
下記のような症状がある場合はGER以外の病気が考えられるので注意が必要です。
- 1歳半〜2歳以上で持続する嘔吐
- 激しい嘔吐
- 噴水状嘔吐
- 吐血や血便などの消化器症状
- 発熱
- 傾眠
- 肝脾腫
- 大泉門膨隆
- 大頭症、小頭症
- けいれん
- 腹部圧痛
- 遺伝疾患・代謝性疾患が診断されている場合もしくは疑われている場合
- その他慢性疾患(HIV感染症など)
GER,GERDがあるときの自宅でのケア
- 飲ませすぎに注意する。吐き戻しの後に飲ませることはせず、次回の授乳時間まで待つ。
- 授乳途中、授乳後にゲップをさせる。
- 授乳後30分縦抱きにする。
- 少量頻回授乳にする。
- 排便・排ガスを促進させる。
- きついオムツやきついウエストの服を避ける
- 睡眠中は仰臥位で寝かせる・伏臥位(うつぶせ)は避ける
- ベビーカーやチャイルシートでの半仰臥位は、GERを悪化させる可能性があるので、授乳後は避ける
- 傾斜のついた枕やベビーベッドで頭側の高さを維持するような装置は避ける。
GERDの治療
- 治療乳:増粘ミルクなど
- 薬物療法:H2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬
- 外科的治療など